研究概要 |
生体膵臓移植のレシピエント、ドナー双方において、移植の安全性を向上させるには膵液瘻の防止が重要である。一般の膵臓手術で行ってきた超音波外科吸引装置(CUSA)による膵臓切離法や、独自に開発した膵管嵌入法による膵消化管吻合の安全性を証明した。(World J Surgery 26(2),63-69,2002, Arch Surg 137,1044-1047,2002, Hepato-Gastroenterol 49(46),1124-1129,2002) また、移植に先立ち摘出膵の障害程度の迅速かつ客観的な判定法として、^<31>P-NMRと我々が開発した高濃度酸素供給保存法である二層法保存とを組み合わせる手法を確立し、報告した。(Transplantation 78(1),78-82,2004)この手法は今後の臨床例においても施設内で実施可能である。 生体ドナーの膵臓摘出を低侵襲で行うため、後腹膜鏡下脾臓温存膵体尾部摘出法を実験的に確立した。(Hepato-Gastroenterol 51(58),925-927,2004) 現在6名の1型糖尿病で膵臓移植適応患者が臓器移植ネットワークに登録済みで、当院にて病状管理しつつ、適応する脳死ドナーからの臓器移植を待機中である。生体膵臓移植については既に施設の倫理委員会で承認されており、すべての患者には細かく情報提供している。現在、1型糖尿病患者1名に生体膵臓移植の適応について検討中である。
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