研究課題/領域番号 |
13557119
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
河内 正人 熊本大学, 医学部, 助教授 (70178218)
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研究分担者 |
坂田 恒明 塩野義製薬株式会社, 医科学研究所, 主任研究員
生塩 之敬 熊本大学, 医学部, 教授 (20028583)
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キーワード | 電気穿孔法 / 安全性 / 脳腫瘍モデル / IL-12 / MCP-1 / グリオーマ / 臨床応用 |
研究概要 |
我々は、プラスミドDNAを安全かつ有効的に生体組織内に導入し発現させる方法として、生体内電気穿孔法を利用する「電気遺伝療法」を開発してきた。今回の研究の目的は、この電気穿孔法をできるだけ臨床応用に近づけることである。まず、第一段階として投与するプラスミドDNAの濃度、電気穿孔における各種パラメーター(電圧、パルス幅、パルス数)、電極の形状などの条件を検討し、最適な条件を確立した。次の段階として、実際の治療遺伝子を用いて皮下腫瘍、脳腫瘍モデルの治療実験を行いその有効性を証明した。マウスを用いた実験腫瘍で、数種類の遺伝子を組み込んだプラスミドDNAを用いてそれぞれの有効性の比較検討を行い、腫瘍の治療に有効な遺伝子を選択した。この方法では遺伝子を腫瘍局所に選択的に導入できるため、腫瘍局所で免疫系を惹起させる遺伝子(IL-12,MCP-1)や、遺伝子が発現すること自体は細胞毒性を示さず、後に薬剤を投与した時に細胞毒性を示すいわゆる自殺遺伝子(ヘルペスウイルスサイミジンカイネース、ジフテリアトキシン)などの導入を試み、それぞれの遺伝子における腫瘍縮小効果を確認した。また、安全性の検討においては、マウス、ラットを使って実験を行い、皮下組織、脳組織に病理学的に副作用が無いことを確認した。また、脳組織に関しては、行動学的に安全性の検討も行った結果、電気穿孔法に起因する副作用を認めなかった。以上より、浸潤性が高く、難治性のグリオーマに対する新しい治療法として、この電気穿孔法は、安全性の高い遺伝子治療であり、臨床応用を現実化できると考えられる。
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