研究課題/領域番号 |
13557125
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
四宮 謙一 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (20111594)
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研究分担者 |
伊藤 聰一郎 東京医科歯科大学, 疾患遺伝子実験センター, 助教授 (10242190)
波呂 浩孝 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (10313264)
小森 博達 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (60262169)
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キーワード | HAp / Col / 骨再生 / 骨髄間葉系細胞 / 細胞担体 / 多孔体HAp / Col / 生体吸収性 / BMP2担体 / サル・ヒト骨髄間葉系細胞 |
研究概要 |
ハイドロキシアパタイトコラーゲン(HAp/Col)は以前より我々の研究で骨伝導能があり、有効な人工骨材料であることがわかっている。さらに今回、骨髄間葉系細胞との融合化にあたり、細胞担体としてのHAp/Colの適切な形状の開発と、骨再生における骨髄由来間葉系細胞の有用性を検討した。従来より開発の行われていたブロック状のHAp/Colは、緻密なため、細胞の担体として用いることはできなかった。そこでブロック状に形成する前のHAp/Colの粉末を用い、アルギン酸と混合して使用することにより、細胞侵入性を向上させたHAp/Colインプラントの開発に成功した。これは、生体内に注入すると数分から数十分で硬化し、臨床的に利用しやすい。しかし、細胞担体としては、操作が煩雑になってしまうため、さらに優れた細胞担体の開発を進めた。現在開発中であるるのは多孔質のHAp/Colで、細胞が接着するための表面積も大きく、細胞を導入する操作も単純で実用的である。さらに従来より市販されている多孔体ハイドロキシアパタイトが、生体非吸収性であり、水分を吸収すると、もろくなり崩れやすいのに対し、開発された多孔体HAp/Colは生体吸収性であり、スポンジのような物理学的特性を有し、水分を吸収しても崩れず、手術時などの操作が容易である。ラット大腿骨への移植実験では従来のインプラント材よりも、優れた骨伝導能と破骨細胞による速やかな吸収を確認した。またBMP2の担体としても一般的に使用されているコラーゲンスポンジよりも優れていることを確認した。今後さらに骨伝導能を有する薬剤担体としての特性を向上させていく予定である。ラット骨髄より培養した間葉系細胞を用いた実験では、培養細胞と担体を組み合わせることにより、皮下や、筋層内で異所性骨化誘導ができることを確認した。さらに、霊長類であるサル骨髄間葉系細胞の培養増殖とHAp/Co1担体と組み合わせたものをヌードマウス背筋内に移植した同様の検討を進めて、良好な骨化を認めている。ヒト骨髄間葉系細胞は、その使用について学内倫理委員会を通過しており、手術時に骨髄間葉系細胞を採取し、分化能、骨形成能などの性差、年齢差などに関して最適の培養条件を現在研究中である。適切な培養条件で培養したヒト骨髄由来間葉系細胞をラット、サルでおこなったようにHAp/Co1担体と組み合わせ骨誘導能の確認を来年度おこなう予定である。
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