研究課題
hydroxyapatitc/type I collagen複合体を用いた人工椎体の開発を試みた。方法:HAp/Col複合体複合体のHApとコラーゲンの重量比は、80/20(Wt%)である。共沈法で合成時pH8-9、40°に制御することで、HAp結晶(20-50nm)のC軸がコラーゲン線維(300nm)方向に配向した、生体骨類似のナノコンポジットを形成している。HAp/Co1複合体でインプラントを作製し、BMP-2(0,400μg/ml)を陰圧下に吸着させた。ビーグル犬の頚椎(C3/4あるいはC4/5間)にHAp/Co1インプラントを用いて1椎間2椎体固定を行った。BMP-2含浸インプラントを4頭に、溶剤のみのインプラントを8頭に移植した。インプラントの脱転予防にBMP(+)群2頭、BMP(-)群5頭でPLLAプレートとチタンスクリュー固定を併用した。結果:rhBMP(-)群では移植後12週でX-P上椎体とインプラントの境界が不鮮明になった。しかし仮骨形成は少なく、骨稜の連続性も明かではなかった。その後、骨性架橋様の陰影が観察された。インプラントの脱転はなかった。rhBMP(+)群は仮骨形成が2週後から認められ、10週で骨性架橋が形成された。移植後13週でrhBMP(-) : plate(+)群の椎間距離減少はrhBMP(-) : Plate(-)群より小さい傾向にあった。また、13週、24週ともにrhBMP(+)群がrhBMP(-)群より小さい傾向を示した。rhBMP(-)群のインプラントは移植後13週までに吸収が進んでdebris状になり、椎体側より新生骨に置換されつつあった。しかし未石灰化領域が多く残存し、24週後も骨化領域は少なかった。rhBMP(+)群は移植後13週で上下椎体から新生骨の架橋が伸び、24週後には骨性架橋が完成していた。移植後13週、24週後ともに、プレート固定の有無に関わらず、rhBMP(+)群はrhBMP(-)群に比べてギャップが小さい傾向を示した。考察:未架橋複合体の吸収速度が速すぎるためcollapseをきたした。PLLA plate固定により新生骨の架橋形成は促進されないが、collapseが減少しており、PLLA plate固定がインプラントの固定力向上に有効である。また、プレート固定によるインプラントの固定性向上と複合体の優れた骨伝導能の結果、上下椎体から伸びる新生骨の形成は経時的に進行した。一方、BMP含浸により術後早期に仮骨が出現し、新生骨の架橋形成が促進されるため、collapseは減少した。さらに、rhBMP-2含浸インプラントをPLLA plateで固定することにより、collapseは明らかに減少した。これは、rhBMP-2含浸を含浸させたHAp/Colインプラントを強固に内固定するシステムが頚椎前方固定のオプションになり得ることを示唆している。
すべて その他
すべて 文献書誌 (7件)