研究課題
【目的】水酸アパタイト/コラーゲンナノ複合体によるシート(HAp/Col sheet)は、適度な強度を有し、水分を含有すると粘性、可塑性が増加して加工性に富むという特性を持つ。この新素材を骨再建に応用するため、HAp/Col sheet上に間葉系幹細胞を播種し、in vivoで骨形成能を検討した。【方法】1.細胞培養:生後1日のマウス頭蓋骨をコラゲナーゼ処理することより骨芽細胞を採取した。生後6週のラット大腿骨を採取し、骨髄除去を行って骨髄細胞を採取した。骨髄細胞はP1にてアデノウイルスベクターを用いてLacZを遺伝子導入した。これらの細胞を個々にHAp/Col sheet上で培養した。骨芽細胞は72時間、骨髄細胞は96時間培養した後に、前者はアルカフォスファターゼ染色、後者はXgalにて染色し可視化した。2.ラット骨欠損部への移植:ラット大腿骨に長さ6mmの骨欠損部を作成し、創外固定を行った。骨欠損部に、HAp/Col sheet単独、あるいはラット滑膜細胞から樹立した間葉系幹細胞を播種したHAp/Col sheetを埋殖した。手術後2週間ごとにレントゲン写真を撮影し、仮骨形成を観察した。【結果】マウス骨芽細胞、ラット骨髄細胞は共に、HAp/Col sheet上にて仮足を伸ばして生着することが確認された。ラット大腿骨に形成した骨欠損部にHAp/Col sheetを埋殖したが、HAp/Col sheetは可塑性に富み、様々な形態に成型が容易であった。HAp/Col sheetを骨欠損部の骨幹部周囲にロール状に巻いて固定したところ、術後2週ごろより仮骨の形成が認められた。移植前のHAp/Col sheetに、ラット滑膜細胞から樹立した間葉系幹細胞を播種すると、仮骨形成が促進された。埋殖部に異常な炎症反応は認められなかった。今後材料特性をコントロールすることにより、HAp/Col sheetは骨再生医療を前進させるドライビングフォースとなる可能性が示唆された。
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