研究分担者 |
山田 健人 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (60230463)
大家 基嗣 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (00213885)
中島 淳 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (10167546)
伊藤 文雄 武田薬品, 創薬化学研究所, 研究職
穂積 信道 東京理科大学, 生命科学研究所, 教授 (60051744)
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研究概要 |
前立腺癌は転移を起こしやすく、骨髄組織に対する親和性が推察される。HuBone-NOD/SCIDマウスを用いて、腫瘍血管新生を標的にした癌骨転移に対する治療法の開発を目指した。癌細胞が産生する血管新生因子であるVEGFやangiopoetin-1は内皮細胞の受容体、Flt-1やTek/Fit-2に結合する。これらの受容体の細胞質ドメインをヒト免疫グロブリンのFc領域で置換したキメラ分子を作製し、レトロウイルスベクターを用いて、ヒト前立腺癌細胞株などに導入した。マウス皮下に移植しておいたヒト骨内で、これらキメラ分子を導入された腫瘍細胞の増殖ならびに血管密度が抑制された。前立腺癌の骨転移診断における破骨細胞由来であるtartrate-resistant acid phosphatase(TrACP)の有用性を、PSA, ALP, PACPと比較検討した。血清PSA、ALP、PACP、TrACPは骨転移症例において有意に上昇していた。Logistic回帰分析で検討したとこと、PSA, ALPとともにTrACPが骨転移診断における独立した有意なマーカーであった。ホルモン非依存性前立腺癌における増殖やアポトーシスにおけるBcl-2やNFκBの役割の解明し、新たな治療戦略の開発を目指した。PC-3細胞は恒常的にBcl-2蛋白を発現しており、antisense bcl-2 oligodeoxynucleotideはBcl-2蛋白の発現を抑制し、濃度依存性の殺細胞効果を示した。また、antisense bcl-2 oligodeoxynucleotideはPC-3細胞内のglutathione濃度やROS産生量に有意な影響を及ぼすことなく、アポトーシスの増強を介してdiethylstilbestrolの殺細胞効果を有意に増強することが示された。NFκBはホルモン非依存性前立腺癌細胞であるPC3,DU145,JCA-1細胞において活性化されており、新規NFκB阻害剤であるDHMEQはNFκB活性を抑制し、時間依存性ならびに濃度依存性に抗腫瘍効果を示し、新たな治療戦略となる可能性が示唆された。
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