研究課題/領域番号 |
13557137
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
井上 正樹 金沢大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10127186)
|
研究分担者 |
田中 政彰 金沢大学, 医学部附属病院, 助手 (70283140)
京 哲 金沢大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (50272969)
|
キーワード | エピジェネティック変化 / DNAメチル化 / MLH1遺伝子 / 子宮内膜癌 / 早期発見 |
研究概要 |
平成14年度までに内膜癌由来細胞株や実際の内膜癌の臨床検体について発癌にはhMLH1のDNAミスマッチ遺伝子の発現異常が重要である事実を得た。さらに、蛋白発現の低下はhMLH1遺伝子の変異ではなくプロモーターの過剰なメチル化が原因であることも確認した。方法としては、基本的にはbisulfiteによるメチル化cytosineのuracilへの転換を利用した方法で、各遺伝子プロモーターにメチル化特異的なプライマーを設定し、PCRを基本にした定量的メチル化測定法を開発して検討した。 この方法によると、hMLH1の蛋白発現はプロモーターのCpGに富む領域のメチル化と極めて高い相関を示した。子宮内膜癌を持たない正常内膜ではメチル化は皆無であったが、過剰メチル化のある内膜癌周辺の正常内膜組織では約30%に過剰なメチル化が進行していることが判明した。癌組織では約50%の症例に80%以上のCpG領域でメチル化が見られた。癌組織の免疫染色でも癌周囲の形態的に正常な内膜腺上皮に蛋白の発現消失が見られている。これらは形態変化よりも早期にメチル化が進行すると考えられ、hMLH1の機能低下が発癌の最も早い変化と考えられた。蛋白発現低下とMSIには相関見られ、hMLH1プロモーター過剰メチル化症例ではPTEN遺伝子のフレームシフト変異が有意に多いことが判明した。 以上をまとめると形態変化に先立ち、hMLH1プロモーターの過剰メチル化が生じ、MMRとしての機能低下によりMSI状態となりPTEN因子の変異やその他P53,Ras遺伝子の変異をきたすと推定された。したがって、子宮内膜癌発生の予知としてhMLH1遺伝子プロモーターの過剰メチル化の検出が重要であることが示された。
|