研究分担者 |
広田 直美 日本オルガノン(株), 医薬研究所, 研究開発管理室長
刈谷 方俊 京都大学, 医学研究科, 講師 (90243013)
伊東 宏晃 京都大学, 医学研究科, 助手 (70263085)
和田 幸久 日本オルガノン(株), 医薬研究所, 研究員
|
研究概要 |
今年度は、子宮頸部熟化過程におけるヒアルロン酸合成調節機序を解析する目的で、まず子宮頸部組織および培養ヒト子宮頸部線維芽細胞(CxF細胞)におけるヒアルロン酸合成酵素(hyaluronan synthase-1,2,3:HAS-1,2,3)の発現、ヒアルロン酸分泌ならびにヒアルロン酸受容体とされるCD44の発現を検討した。 非妊娠および妊娠子宮頸部組織におけるヒアルロン酸合成酵素の発現をRT-PCRにて検討したところ、HAS-1,2,3のいずれも発現を認めた。培養CxF細胞でもHAS-1,2,3発現を認めた。このCxF細胞にIL-1αを添加すると用量依存的にHAS-1,2,3発現が増加しhyaluronan産生も増加した。 次に、培養ヒト子宮頸部線維芽細胞にFlexcell 3000 systemを用いて陣痛に模した周期的伸展刺激を加えたところ、培養上清中のヒアルロン酸濃度は12時間後および24時間後にそれぞれ有意に増加し、またHAS-1,2,3いずれの遺伝子もその発現が増強していた。さらに、ヒアルロン酸の受容体と考えられているCD44が子宮頸部線維芽細胞に発現していることが免疫染色法にて確認された。 今回の結果より、ヒト子宮頸部においてはヒアルロン酸合成酵素およびその受容体が発現しており、頸部由来の培養線維芽細胞において、IL-1α添加や周期的な伸展刺激により、ヒアルロン酸合成酵素の発現の増強とヒアルロン酸産生が亢進することが明らかになった。すなわち、分娩時に子宮頸部に増加するとされるIL-1を介して、あるいは子宮収縮に伴う胎児先進部による周期的伸展刺激により、子宮頸部線維芽細胞でのヒアルロン酸代謝が亢進し頸部の熟化に寄与していることが示された。
|