研究概要 |
平成13年度:Preconditioningを検討した結果、確実な免疫抑制法であるFK-506、MMF、プレドニン投与に切り替え、手の交換移植を行う方針とした。まず、カニクイサルを4頭購入し、環境へ順応させることおよび、手の機能評価の検討を試みた。 平成14年度:飼育サルのリンパ球とCD3,CD4,CD8,CD20,CD56,CD161と反応することを見いだしCD抗原の発現状態を測定した。サルの血液型タイピングが困難なことが判明したが、ヒト腎移植ではABO不適合移植でも問題ないことから血液型マッチングは不要であると判断した。 平成15年度:15年5月28日カニクイザル雌雄右手を前腕部遠位で、切断・交換移植した。一方の組み合わせでは血行再開が得られたが、もう一組の移植組み合わせでは血行再開ができず、血管吻合レベルはより近位で行うべきであることが判明した。免疫抑制剤3剤を手術当日より経口接種により投与したが十分量を維持できず2週目より徐々に移植手は拒絶された。 平成15年10月24日カニクイザルの雌雄ペアーで交換移植を実施した。血管吻合レベルを肘関節レベルに変更し、血行再建は成功した。3剤を術前日からの投与にしたが免疫抑制剤入りの餌を術後、摂取しなくなり、一手は当初、血管碍環は良好であったが急性拒絶症状を呈し、最終的に正着しなかった。 平成16年3月5日に追加購入した雌雄のペアーで交換移植を行い、FK-506は術前日より注射で投与、血中濃度は十分維持できた。血行再建のできた移植手は術後一週間、良好な血液循環を認めたが、拒絶反応の傾向が出現し、徐々に壊死化した。 第1組雌雄交換手の移植により、血管吻合レベルおよび、免疫抑制剤投与開始時期の変更が必要と判断された。第2組の移植の経験から第3組の交換移植では注射投与により最重要なFK-506の血中濃度を維持でき、血行再開の順調であった移植手は血行維持が一週間以上持続できたが徐々に拒絶された。
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