研究概要 |
前年度での研究でXI型コラーゲン遺伝子のプロモーターを含む転写調節領域にLacZをつないだベクター(以下pXIcol-Z)をトランスフェクトして得られたstable clone pR5-1は単層培養ではpXIcol-Zをほとんど発現していない。一方凝集塊を作って培養すると低レベルの発現がみられ、BMPを作用させると、さらに強い発現が認められた。したがってこのclone pR5-1を軟骨分化のモニターに用いた。 C1細胞からのプラスミドcDNAライブラリーの作成 テラトカルシノーマ由来の間葉系幹細胞C1は分化誘導条件下で培養すると、骨芽細胞あるいは軟骨細胞の表現型を発現するようになり、それぞれの基質を産生する(J Cell Biol,1995)。C1細胞では、細胞凝集塊を作らせた後に軟骨細胞の分化形質マーカーの発現が開始するので、その時期と同時か、それより早い時期においてcompetenceに関わる分子の発現が高いことが予想される。そこで細胞凝集塊を作った状態のC1細胞から、mRNAを抽出しcDNAを作成した。この時点でなるべく長いcDNAを得るべくいくつかの点で改良を加えたライブラリー作成法を用いた。またレトロウイルスベクターとしてKitamuraらの開発したpMYベクターをもちい、そこで用いられているプロモーター活性がテラトカルシノーマ細胞F12で高いことを確認した。さらに作成したcDNAライブラリーは10^5C.F.Uオーダーであり、挿入されているcDNAの平均長は1.5kb程度であることを確認した。 clone pR5-1におけるlacZ活性のFACSによるモニタリング FACSにおけるsortingを行うための予備実験として、蛍光基質を用いてlacZ活性のモニタリングを行った。すなわち、clone pR5-1に対してlacZを組み込んだレトロウイルスベクターを感染させ、FACSにかけた。一部はさらにsortingも行い、細胞を固定後X-galを基質とした染色を行ってlacZ活性の確認を行った。ここまでの実験で、蛍光基質を用いることで、細胞を生きたままlacZ活性のモニターが可能であること、sortingによる濃縮が可能であることを確認した。
|