研究課題/領域番号 |
13557157
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
朔 敬 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (40145264)
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研究分担者 |
大城 和文 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (50332648)
依田 浩子(米持) 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (60293213)
程 くん 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (40207460)
中島 元夫 ノベルティスファーマ筑波研究所, 癌研究グループ, マネージャー(研究職)
鈴木 誠 新潟大学, 歯学部附属病院, 講師 (50107778)
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キーワード | 扁平上皮癌 / 細胞培養 / スラミン / DNAチップ解析 / RT-PCR / マイクロディセクション法 / インテグリン / 細胞外基質 |
研究概要 |
1)細胞培養:ヒト舌扁平上皮癌由来ZK-1細胞およびMK-1細胞(高転移性)、あるいは唾液腺腺様嚢胞癌由来ACC3細胞およびACCM細胞(高転移性)を維持して、細胞外基質の細胞認識機構阻害の抗がん効果への可能性を検討するために以下の実験をおこなった。 2)DNAマイクロアレイ実験:上記細胞培養について、昨年に引き続きさらに培養時間とスラミン添加条件を変えて全RNAを抽出しcDNAに転換後、DNAチツプにハイブリダイズさせてマイクロアレイ法をおこない、遺伝子発現の差異を検討したところ、高転移性細胞では、細胞外基質分子産生が少なく、その受容体発現も低レベルであった。さらに細胞外基質分解酵素群が高いのに対し同酵素阻害因子は低い傾向があり、アポトーシス関連遺伝子は概ね高発現していた。スラミン添加群で有意にリン酸化関連遺伝子群の発現抑制がみとめられ、細胞内刺激伝達経路の障害もスラミンによる接着抑制現象に関与することが示唆された。 3)間質細胞との共培養実験:上記細胞に間質線維芽細胞をくわえて直接接触あるいは間接接触環境下で共培養をおこなったところ、共培養下では扁平上皮癌細胞の細胞外基質合成が顕著に低下し、間質細胞のそれはたもたれていたので、生体内では間質細胞が基質合成をもっぱら担当して癌実質細胞の増殖に貢献することが示唆された。 4)マイクロディセクション法による遺伝子発現解析実験:昨年度にひきつづき、上記癌細胞と線維芽細胞との共培養実験を開始して、レーザユニットを装着した顕微鏡下で、二種の選択的に回収して、遺伝子抽出をおこなうための条件設定をおこなった。 5)口腔扁平上皮癌の浸潤過程における接着分子と細胞外基質の動態:ハムスターの可移植性高転移性扁平上皮癌の頬嚢移植病巣における細胞接着分子の発現を検討したところ、接着分子発現低下がリンパ節転移性と関連していたが、脈管侵襲時に発現低下はみられなかったので、局所浸潤性には癌細胞の接着性は関与しない可能性がしめされた。ヒトの歯肉癌における間質誘導を検討したところ、骨吸収と骨添加が惹起される環境では類似の細胞外基質分子配置があったが、前者では血管分布が豊富である点が大きく相違した。
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