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本研究における目的は、チタン製インプラントに細胞親和性を付与し、歯根膜由来の細胞を培養したハイブリッド型のインプラントを開発することである。まず、チタン単独では生体親和性の向上に限界があるため、ポリマーを表面に固定化する方法を検討した。接着試験によりエチレンビニルアルコール共重合体(EVA)がチタンに対して非常に優れた接着力を有することがわかり、またチタンを過酸化水素処理することでより強固に接着させることに成功した。EVAは課題研究開始前の研究により表面にコラーゲンを固定化させることで細胞親和性を向上させることが可能であることがわかっている。コラーゲン固定化EVA上ではPDL細胞の増殖、コラーゲン産生能が未処理のEVAにくらべて有意に大きいことが確認された。イヌを用いた動物実験の結果から、ハイブリッド型インプラントにおいてはインプラント周囲に天然歯のシャルピー繊維とよく似た再生歯根膜様組織が確認された。
また、PDL細胞の分化を促して、セメント質を含めた歯周組織全体の再生を検討した。EVA上に骨およびセメント質の材料であるハイドロキシアパタイトを固定化する方法を確立し、そのうえで歯根膜細胞を培養したところ、骨もしくはセメント質細胞のマーカーであるオステオカルシンのmRNA発現及びタンパク発現が確認された。これにより、将来的にはセメント質、歯根膜、歯槽骨と連続的に機能する歯周組織をもつインプラントの開発の可能性が示唆された。
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