研究課題/領域番号 |
13557168
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
寺田 善博 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (30038898)
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研究分担者 |
根津 尚史 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助手 (40264056)
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キーワード | コラーゲン / 貯蔵・放出デバイス / 象牙質接着 / 架橋ゼラチン / 内部容積 / 膨潤・収縮 / 脱水 / 速度過程 |
研究概要 |
種々の架橋度の架橋コラーゲンモデルの調製 平成13年度に試みた方法に従い、ゼラチン濃度、架橋剤(グルタルアルデヒド)濃度を種々変えて、架橋コラーゲンモデルとしての架橋ゼラチンを調製した。調製の過程において、グルタルアルデヒド濃度が高いほど、透析の着色が顕著になるとともに、反応液の粘性が増大し、不溶物が析出する様子が観察された。これらより、コラーゲン分子間の架橋により凝集体が高分子量化していることが示唆された。 DSCによるキャラクタリゼーション 調製した種々の架橋ゼラチンについて、架橋度の指標となる変性温度を、示差走査熱量測定(DSC)により測定するとともに、そのピークの広がりから架橋度の均一性を評価した。変性温度は架橋剤のグルタルアルデヒド濃度に比例して高くなることが見出され、架橋度と相関を持つことが示唆された。また、架橋度が高いほどDSCのピーク幅が広がる傾向にあり、架橋の程度を一様にそろえるためには調製方法に改良を加える必要がある。 比表面積の測定 通常の粉体試料に比べて測定が困難な繊維状試料の比表面積を再現性よく測定する条件を確立し、物質取込のための内部空間容積に関係すると思われる、架橋ゼラチンの比表面積測定を行った。未架橋のゼラチンに比べて、腱コラーゲンと同程度の変性温度を持つ架橋ゼラチンの比表面積は2倍近く大きいことがわかったが、腱コラーゲンではむしろ比表面積が小さかった。 取込/放出実験 同一ロットの架橋ゼラチン試料を大量に調製することが想定した以上に困難であったため、実際の試料での物質取込/放出実験に先立ち、他の高架橋度親水性高分子(酢酸セルロース膜)を用いて色素の取り込みと放出の測定を、分光法により行った。取り込まれた色素を放出するには、高分子ゲルを脱水作用により収縮させる、塩やアルコールの添加が有効であることが明らかになった。 以上のように、架橋コラーゲンモデルの調製とそのキャラクタリゼーションを行い、その物質貯蔵/放出機能の制御法について目処が立った。
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