研究課題/領域番号 |
13557171
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
福島 忠男 福岡歯科大学, 歯学部, 助教授 (80084250)
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研究分担者 |
早川 徹 日本大学, 松戸歯科学部, 講師 (40172994)
岡畑 恵雄 東京工業大学, 生命理工学部, 教授 (80038017)
井上 勇介 福岡医療短期大学, 歯科衛生学科, 助教授 (20105688)
武田 昭二 大阪歯科大学, 歯学部, 助教授 (20067185)
河合 達志 愛知学院大学, 歯学部, 助教授 (60167351)
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キーワード | DNA / 人工脂質 / 人工脂質修飾DNA / DNAフィルム / 細胞毒性 / 抗菌性 / 生体分解性材料 |
研究概要 |
n-デシルアルコール、n-ラウリルアルコールにL-アラニンを反応させ、カチオン性人工脂質を合成し、IR、NMR、元素分析により化学構造を確認した。つぎに、これら人工脂質とDNA(300BP)を反応させたところ水不溶性の固形物が得られた。これら固形物を元素分析したところDNA中のリン酸基と人工脂質は1:1で反応していた。そこで、これら人工脂質修飾DNA複合体をクロロホルム/エタノール混合溶媒に溶解し、溶媒を除去したところフィルムとなった。人工脂質修飾DNA複合体をCDスペクトルで分析したところ、すべてNative DNAのスペクトルと類似しており、さらに、フィルムを臭化エチジウム水溶液に入れ、分光分析による臭化エチジウムの濃度変化を追跡したところ、臭化エチジウムがすべてのフィルムにインターカレーションすることが明らかとなり、人工脂質修飾DNA複合体やそれらのフィルムはラセン構造を保持していることが明らかとなった。この様に得られた人工脂質修飾DNAやDNAフィルムがラセン構造を保持していることが明らかとなったので、人工脂質、人工脂質修飾DNAおよびDNAフィルムの生体安全性を評価するために細胞毒性試験と動物実験を行った。人工脂質と人工脂質修飾DNAの骨芽様細胞(MG63)による細胞毒性は軽微であり、特にアルキル鎖が短い人工脂質で修飾したDNA複合体の細胞毒性が良好であった。これらフィルムの3週間でのラット皮下実験でも、炎症反応がほとんど観察されず生体親和性も良好であることが明らかとなった。人工脂質は抗菌性を示すカチオン界面活性剤の化学構造に類以している。そこで、人工脂質修飾DNA複合体の抗菌性および抗真菌性、特に院内感染および口腔内疾患の原因となる菌や寝たきり老人の燕下性肺炎の原因とされている真菌についての抗菌性と抗真菌性のテストを行ったところ、いずれも抗菌性と抗真菌性を示し生体材料として有望な性質を具備していることが示唆された。
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