研究課題/領域番号 |
13557172
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
戸塚 靖則 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (00109456)
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研究分担者 |
安田 元昭 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (90239765)
東野 史裕 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (50301891)
進藤 正信 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (20162802)
鄭 漢忠 北海道大学, 歯学部附属病院, 講師 (80180066)
小林 正伸 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教授 (80241321)
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キーワード | アポトーシス / Bnip3 / 膜貫通ドメイン / E4orf6 |
研究概要 |
Caspaseの活性化機構の調節に重要な役割を演じているBc1-2ファミリーに属するBnip3はBH-3only proteinの一つで、BH3ドメインと膜貫通(TM)ドメインを持ち、アポトーシスの誘導タンパクとして機能する。Bnip3とcaspaseの関係を明らかにすることを目的としてBnip3の膜貫通ドメインのアポトーシス誘導能における役割を検討した。 その結果、Bnip3とCED-3の単独遺伝子導入ではそれぞれ10%前後のアポトーシスが誘導された。両者の共導入では単独導入により誘導される細胞死の2倍以上のアポトーシスの誘導が認められ、相乗的なアポトーシスを誘導効果があることが示唆され、この過程にはBnip3はCED-3との結合とTMドメインによるCED-3のミトコンドリアへの局在が必須であることが示唆された. このようなBnip3によるアポトーシスの誘導機構の詳細をしるために、アデノウイルスの新規ウイルスがん遺伝子E4orf6を用いて実験を行った。E4orf6はがん抑制遺伝子p53ファミリータンパクに結合し、それらの機能を抑制することを我々は報告してきた。 E4orf6はBNIP3のアポトーシス誘導能を抑制した。E4orf6はN末端側にNuclear Export Signal (NES)をコードする領域を持っている。E4orf6とBNIP3を293細胞に遺伝子導入し、レーザー共焦点顕微鏡により観察したところ、E4orf6は細胞質中でBNIP3のミトコンドリアへの局在を変化させることが認められた。さらにBNIP3との結合にはNESを含むがんの悪性化に重要な役割を果たす領域が必要であった。これらの結果はE4orf6はBNIP3をターゲットにして細胞中で相互作用し細胞を悪性化することを示唆している。 ヒトがん細胞でもE4orf6に相当するがん遺伝子がp53ファミリーを介さずにアポトーシス抑制的に働き、細胞がん化に働いているものを思われ、今後このような機能をもつ細胞がん遺伝子をターゲットにしてがん細胞のアポトーシスを誘導することによってがんの遺伝子治療に寄与するものと思われた。
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