研究概要 |
本年度は、舌癌新鮮例120例のバイオシーを収集し、酸化ストレスタンパク質のうち、比較的細胞内でタンパクの含有量の多いヘムオキシゲナーゼ1を候補として選択し、LsAB法を用いて免疫染色をおこなった。それらの発現の程度を肉眼的に判定し、腫瘍細胞のうち0-5%,5-25%,25-50%,50%の染色が見られるものをそれぞれGrade0,1,2,3とし、臨床病態との分析、とくに、TNM分類、進展形式、リンパ節転移などとの関連の分析をみた。ヘムオキシゲナーゼ1の高発現群と低発現群に分類した場合、低発現群は臨床的なN分類とは関連が見いだされなかったもののpNと有意に関連があることが判明した。よって、リンパ節転移の予測マーカーとしての可能性を考え、カットオフ値など有効に判別できる設定を検討した。また、それによって、頸部リンパ節転移の予測マーカーとして利用した場合の正診率を測定したところ66%であった。 一方、試薬の開発についてはヒトペルオキシレドキシン(Prx)Iモノクローナル抗体について製作を開始した。ヒトPrxIのC末のTIKPDVQKSKEYFに着目し、NH2-TIKPDVQKSKEYFCys-COOHのペプチドを合成し、KLHとconjugationをおこない抗原とした。それらをマウスに免疫し、抗体の上昇を測定した。また、他の抗原とクロスしないようネガティブセレクションをおこなうため、NH2-TIKPDVAGSKEYF-COOHのペプチドを合成し、ELISAの際の選択用の抗原とした。
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