研究概要 |
前年度までに、ヘムオキシゲナーゼ1(HO-1)、ペルオキシレドキシンI(Prx I)の二種類の酸化ストレスタンパク質について解析をおこない、それぞれ、リンパ節転移と、再発の指標になることが示された。今年度は、比較対照のために、従来から有用性が示されているマーカーとしてサイトケラチン13(CK13)抗体を用いて、同様にLsAB法で免疫組織化学的に半定量的にグレードをふり酸化ストレスタンパク質のマーカーと比較をおこなった。舌癌症例121例に対し、CK13の発現群と非発現群に分類した場合、単変量解析では発現群で原発巣の再発の可能性が低下することがわかった。多変量ロジスティック回帰分析をおこない性別、年齢、TNM分類、浸潤形式等の臨床所見を変数として調整オッズ比をもとめた結果、オッズ比は0.395%信頼区間0.11-0.81,P=0.02となり、サイトケラチン13については、従来言われていた非発現群の浸潤性を裏付けるように、腫瘍の再発についてもについても同様な関連があることを見いだした。また、酸化ストレスタンパク質のマーカーとしての可能性についての評価をHO-1、c-Abl, PrxI, CK13での比較で行うため、HO-1、c-Abl, PrxI, CK13と臨床所見すべてを変数に含めてpNと腫瘍の再発について多変量解析を多変量ロジスティック回帰分析をおこない、同様に臨床所見を変数として調整オッズ比を求めたところ、これらのマーカーのうちpNについては、HO-1のみオッズ比0.395%信頼区間0.11-0.96,P=0.04と有意であり、腫瘍の再発についてはPrxIのみオッズ比0.395%信頼区間0.17-0.87,P=0.02と有意であった。以上から、酸化ストレスタンパク質を腫瘍の病態を示すマーカーとした場合、HO-1はリンパ節転移、PrxIは再発に関して有用であることがわかった。
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