研究分担者 |
鬼澤 浩司郎 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (60194578)
柳川 徹 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (10312852)
小村 健 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科・口腔機能再建学, 教授 (10334434)
遊佐 浩 筑波大学, 臨床医学系, 助手 (40292560)
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研究概要 |
本研究の目的は、酸化ストレスタンパク質を用いた臨床病態を評価する腫瘍マーカーを開発し実用化をめざすことである。まず、舌癌新鮮例112例を収集し、従来の研究で予想されていたヘムオキシゲナーゼ1(HO-1)と頚部リンパ節郭清との関連を中心に検索をおこなった。LsAB法を用いて生検サンプルに対して免疫染色をおこない、それらの発現の程度を肉眼的に判定し、TNM分類、進展形式、リンパ節転移などを含む臨床病態との関連を分析したところ、HO-1低発現群はpNと有意に関連があり、多変量ロジスティック回帰分析を用いた場合、調整オッズ比8.49 95%信頼区間11.61-44.09,P=0.01で、HO-1は頚部リンパ節転移のマーカーとなることが分かった。また、132例の生検サンプルに対し、ペルオキシレドキシン1(PrxI)を選択し、同様に臨床病態との関連を分析したところ、PrxI発現群は再発の可能性が上昇することがわかった。また、比較対照のために、従来から有用性が示されているマーカーとしてサイトケラチン13(CK13)を用いて、同様に舌癌症例121例に対し多変量ロジスティック回帰分析を行ったところ、オッズ比は0.3 95%信頼区間0.11-0.81,P=0.02で、CK13について、従来言われていた非発現群の浸潤性を裏付けるように、腫瘍の再発についてもについても同様な関連があることを見いだした。酸化ストレスタンパク質のマーカーとしての可能性についての評価を比較するため、HO-1、c-Abl, PrxI, CK13と臨床病態を含めてpNと腫瘍の再発について多変量ロジスティック回帰分析をおこない、同様に調整オッズ比を求めたところ、これらのマーカーのうちpNについては、HO-1のみ有意であり、腫瘍の再発についてはPrxIのみ有意であった。以上から、酸化ストレスタンパク質は口腔腫瘍の病態を示すマーカーとなり、HO-1はリンパ節転移、PrxIは再発に関して有用であることがわかった。
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