研究概要 |
1)細胞周期調節遺伝子導入による口腔癌遺伝子治療 細胞周期調節遺伝子を口腔癌に直接に導入しガン細胞の増殖抑制、アポトーシスを誘導し口腔癌の縮小、消失を目指した研究である。平成14年度には以下のような結果が得られた。(1)ヒト口腔扁平上皮癌であるHSC2,3,4にP53をアデノウイルスベクターにより導入したところアポトーシスを誘導することができた。また、p27,p33を同様にアデノウイルスベクターにより導入したところ増殖抑制が確認された。(2)液胞型プロトンATPaseの特異的阻害であるコンカナマイシンAがHSC2,3,4をアポトーシスに誘導する際にはチトクロームCおよびカスペース3とカスペース9が関与していることが判った。 平成15年度にはp53,p27,p33,コンカナマイシンAなどシスプラチン、タキソテールなどの11抗癌剤との併用によりさらに効率的に癌細胞の増殖を抑制する方法をin vitroで検討し、その結果をふまえて動物を用いたin vivoの実験において腫瘍の縮小効果を検討する予定である。 2)腫瘍ワクチンによる口腔癌免疫治療 サイトカイン遺伝子を導入した腫瘍ワクチンにより全身的な抗腫瘍免疫の誘導を目指した研究である。平成14年度にはマウス扁平上皮様癌細胞であるSq-1979にレトロウiルスベクターMFGによりIL-2,IL4,IL-10,IL-12,GM-CSF, TNF-α,IFN-γの遺伝子をそれぞれ導入し腫瘍ワクチンを作成した。平成15年度には動物を用いたin vivoの実験において抗腫瘍免疫を検討する予定である。
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