研究概要 |
ヒト呼気中に含まれるにおいを有するガスに対し,精度および再現性の高いセンサの選択に対する検討をおこない,さらに出力特性を考慮しセンサの個数の検討を行った結果,6個の金属酸化物半導体を組合わせたにおい分析装置を使用することとした。パーミエーターにより,人工的に種々の濃度で発生させた口臭の主な原因物質と言われる3種類の揮発性硫化物(硫化水素、メチルメルカプタン、硫化ジメチル)を,におい分析装置を利用して分析したところ10ppb〜10ppm程度の範囲で揮発性硫化物濃度とにおい分析装置の出力に相関性を認めた。また,実際に呼気を試料とした場合の捕集管の温度およびサンプリング時間の確立も行った。 次に,口臭を主訴として大阪大学歯学部附属病院を受診した患者41名を被検者とし,呼気を上記にて確立した条件によりにおい分析装置を用いて分析し,加えてガスクロマトグラフィーによる3種類の揮発性硫化物の測定と官能試験を同時に行った。これらの結果の相関性を重回帰分析により求めたところ揮発性硫化物のトータル値と官能測定の結果の相関はそれほど高くなかったが(r=O.401,P<0.009)、におい分析装置による各センサのピーク値と官能測定の結果の相関は(r=0.718,P<0.000)と比較的高い値となった。これらの結果より、におい分析装置は揮発性硫化物以外の成分をも取り込んで測定しているため官能試験との対応が可能となったものと考えられる。
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