研究概要 |
本年度は遺伝子導入の条件設定を行った.非ウイルス性のHVJ-リポソーム法がアデノウイルスベクター法に比較し,将来的に臨床応用が可能と考えられることから,HVJ-リポゾーム法を用いて遺伝子導入を検討することとした.ラットあるいはマウスの実験的歯の移動モデルにおけるHVJ-リポゾーム法の至適条件を検索するため,以下の実験を行った。 1)in vitroラット骨髄から採取した未分化間葉細胞に対して,ルシフェラーゼ遺伝子を導入し,ルミノメーターにて計測し,導入効率について検討した。 2)in vivoラット下顎頭を骨折させβ-galactosidase遺伝子(LacZ)をHVJ-リポソーム法にて遺伝子導入した.導入3日後に灌流固定後,X-gal染色し導入効率を検討した.脱灰後,薄切切片を作製し,β-galactosidase抗体を用いて免疫染色を行い,遺伝子導入の検討した。これらの結果からHVJ-リポソーム法を用いた遺伝子導入が,実験的歯の移動モデルに応用可能であることが確認された。 3)マウスの歯の移動モデルを確立し、オステオポンチンの発現を経日的に検討した。破歯細胞にオステオポンチンが発現することを初めて見出した。 4)以上の遺伝子導入法を適用し,ODF,OCIF/OPG,PTH,1,25(OH)_2D_3,新規因子,それらの阻害剤,抗体をラットに投与して歯の移動に及ぼす影響について破骨細胞,骨芽細胞,破歯細胞活性を酒石酸抵抗性酸フォスファターゼ,in situハイブリダイゼーション,免疫組織化学等で検討した。3)のモデルマウスを応用して歯根吸収を抑制して歯の移動の制御を効率よく行う方法を検討中である。 5)HVJ-リポソーム法を用いてCTGFの遺伝子導入を試みている.CTGF発現効果を検討するために,ラットの歯の移動群と対照群にCTGFの遺伝子を導入し、1,3,5,7,15日後に上顎骨を取り出し,anti-CTGF抗体によってin situ hybridization,免疫組織化学的にCTGFの発現と局在を確認中である.
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