歯科治療による発語動作と表情変化の研究―頭部三次元物理モデルを用いた解析―

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13557185
• 研究機関: 九州大学
• 研究代表者: 中島 昭彦 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (00037524)
• 研究分担者: 沖本 公繪 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助教授 (00037532) ; 青木 義満 早稲田大学, 理工学部, 助手 (00318792) ; 橋本 周司 早稲田大学, 理工学部, 教授 (60063806)
• キーワード: 発語動作 / 表情解析 / 頭部三次元モデル / 咬合異常 / 義歯

研究概要

歯科治療は従来より疼痛の除去や咀嚼機能の回復に主眼がおかれてきた。これらが重要であることは論を待たないが、顔の構成要素である口は情報伝達の主要な手段である言語を発する器官であるだけでなく、口腔軟組織の動きは微妙な感情を相手に伝える機能をもっている。歯科治療がそのような口元の動きにどのように係わっているかを、研究代表者らが開発した頭部骨格および顔軟組織統合モデル(顔物理モデル)を用いて解析することが本研究の目的である。
初年度である平成13年度は、上記の解析に必要な個人の顔表面三次元ワイヤーフレーム構築の研究を継続し、パーソナルコンピュータ上でより迅速に処理および表示できるプログラムを開発した。その成果は国内外の学会と次ページに示すように数編の論文で発表した。
一方、被験者数名に対して上顎前歯前突、反対咬合、上下顎前歯前突などの咬合異常を再現できる義歯を作成し、それらを装着した場合と装着しない場合との表情の違いを非接触型三次元形状入力装置を用いて調べた。この表情解析のパイロットスタディーでは、上顎前歯前突よりも反対咬合で表情は歪み、さらに上下顎前歯前突においては頬部に至るまで広範囲に歪むことが分かった。これらの研究経過については、日本顔学会シンポジウム、および西日本歯科矯正学会の特別講演で報告した。
平成14年度は、購入した三次元動作解析システム(WINANA 3D-2)を用い、設定した口唇周囲特徴点の三次元座標値の経時的な変化から、咬合異常と表情および発語動作の関係を解析をする計画である。

研究成果

• [文献書誌] 青木義満, 寺嶋雅彦, 中島昭彦, 橋本周司: "X線規格画像写真を用いた3次元頭部物理モデルの構築とその臨床応用"電子情報通信学会論文誌. J84-DII-2. 390-399 (2001)
• [文献書誌] 星野慶弘, 寺嶋雅彦, 森紀子, 中島昭彦, 青木義満, 橋本周司: "日本人の3次元骨格標準モデルの構築"第46回西日本歯科矯正学会 (抄録集). 46(1). 113 (2001)
• [文献書誌] 寺嶋雅彦, 青木義満, 徳森謙治 橋本周司, 中島昭彦: "下顎前突症患者の下顎枝矢状分割術による形態変化の三次元シミュレーション"日本顎変形症学会雑誌. 11(3). 194-204 (2001)
• [文献書誌] Aoki A., Terajima M., Nakasima A., Hasimoto S.: "3D Head Model Construction of Individuals Utilizing Standard Models and Photography"8^<th> Korea-Japan Joint Workshop Computer Version. FCV2002 Feb. 98-104 (2002)