研究課題/領域番号 |
13557188
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
石幡 浩志 東北大学, 歯学部・附属病院, 助手 (40261523)
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研究分担者 |
荘司 佳奈子 東北大学, 歯学部・附属病院, 助手 (90302158)
飯山 正夫 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (00193152)
島内 英俊 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (70187425)
大川井 宏明 岩手大学, 工学部, 教授 (70282001)
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キーワード | 超音波 / レーザー / 歯周組織 / 高周波 / エコー / 断層像 |
研究概要 |
従来の5MHz帯における汎用医療超音波計測では、歯周組織の微細な構造を反映するには空間分解能が乏しかったけれども、今課題において採用した20MHz帯音波探触子を用いることでミリオーダーのピクセルによる解像度を有する超音波画像を実現でき、歯周組織に対する診断に応用することが可能となる。実験に用いた超音波発信装置(パルサー:Model5077:パナメトリクス)および探触子(V208RM:パナメトリクス)の公称周波数は20MHzであり、これにより生ずる超音波はディレイ材を介し、本実験への協力を承諾した被験者の歯肉に加えられた。得られた微弱なRFエコーをレシーバー(発信装置と同機)にて増幅(40dB)した後、同期モードにてデジタルオシロスコープ(DS4372 : Iwetsu-Recloy)にて計測した。その結果、遊離歯肉において照準方向に歯根ならびに歯槽骨の存在しない部位において取得したシグナルからは一様に近いノイズを含むエコーが得られた一方、歯槽骨に対する計測では歯肉厚さに相当すると思われる潜時を有する鋭いピークを有する信号が得られた。興味深いことはこれらのピークは探触子を微妙に揺らす操作に応じてピーク潜時は一定であるもののピーク値およびピーク幅は刻々と変化したことから、歯槽骨由来のエコーは表面の細かな凹凸を微妙に反映したシグナルを含む可能性が示されたことである。従来、運動器系を中心とする硬組織をターゲットとした超音波計測では、5MHz帯のエコーが用いられ、骨折部位の同定など大まかな骨表面の凹凸が計測されるのに過ぎなかったけれども、今回用いた高周波超音波を用いることで骨表面のトポグラフィーの他、歯周病診断においてしばしばポイントとなる骨表面の粗造さが検知できたことは、本法がX線法などの他の透視法では得られない生体内部構造を検知できる可能性が示しており、これらが臨床において極めて有用な診断手法となることが期待できるだろう。来年度は探触子の走査をX-Y駆動操作によって自動化し、規格化された計測条件において、歯周組織の各々の構造に依存した再現性を有するエコーを取得できるようシステム構築を行った上、得られた信号よりエコー画像を再構成する可視化を実施する予定である。
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