研究概要 |
本研究では、反応機構を基に設計合成した特異な不斉空間を有する"屋根付き"2-オキサゾリジノン、2-イミダゾリジノン及び2-チアゾリジノン系不斉源の簡易大量合成ルートの開拓及びこれらを利用した不斉合成プロセスの開拓を目的とした。 (1)"屋根付き"人工不斉源の簡易入手ルートの開拓 簡単な複素5員環体(2-オキサゾロン、ジヒドロ-2-イミダゾロン、2-チアゾロン)と環状ジエン類(アントラセン、シクロペンタジエン等)との環化付加体の効率よい触媒的光学分割プロセスとしてオキサザポロジリン/ポランを用いる不斉脱アセチル化手法を開発した。本触媒手法が簡便な光学分割あるいは不均斉化法として複素環系不斉補助剤の簡易合成に共通に適用できることを実証し、ほぼ完壁な不斉制御能を示す"屋根付き"人工不斉源の簡易合成プロセスの開発に成功した。 (2)"屋根付き"ビシクロ骨格系不斉配位子の開発と効率不斉触媒プロセスへの展開 上記複素環系不斉補助剤の開環により立体遮蔽効果の高い"屋根付き"構造のアミノアルコール・ジアミン・アミノチオール系不斉配位子を各種合成した。不斉金属触媒反応系へ適用して、有用性・特異性を明らかにした。 1)"2-アミノアルコール"系不斉配位子: a)オキサザボロリジン/ボラン系によるケトン類の不斉還元への利用 b)4,5-ジメトキシ-2-オキザゾリドン、4,5-ジメトキシ-2-イミダゾリドン等の多目的不斉合成子の合成 c)Cu(II)触媒を用いる不斉アルドール反応への利用 2)"シス-1,2-ジアミン"系不斉配位子: a)不斉Ru(II)触媒によるケトン類の水素移動型不斉還元への利用 3)"2-アミノチオール"系不斉配位子: a)Pd(II)錯体によるアリルアセテートの不斉アルキル化への利用 b)Cu(II)触媒による不斉Diels-Alder反応への利用
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