研究課題/領域番号 |
13557204
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
真弓 忠範 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (00098485)
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研究分担者 |
堤 康央 大阪大学, 薬学研究科, 助手 (50263306)
中川 晋作 大阪大学, 薬学研究科, 助教授 (70207728)
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キーワード | Drug Delivery System / ワクチン / 粘膜免疫 / 膜融合リポソーム / 経鼻投与 / ニワトリ卵白アルブミン / 抗体産生 / CTL |
研究概要 |
本研究は申請者らが独自に開発した膜融合リポソームを用い、エイズを初めとする新興・再興感染症に対する次世代型ワクチン療法を開発しようとするものである。抗原を目的とする細胞に送達させるDDS技術、即ち経鼻ワクチンキャリアーとして膜融合リポソームを設計するために、モデル抗原であるニワトリ卵白アルブミン(OVA)を用い免疫誘導能を検討した。その結果、膜融合リポソームを用いることで鼻腔リンパ組織に存在するM細胞、鼻腔上皮細胞、Mac-1陽性細胞へ効率よく抗原送達されることが確認された。またこれらの抗原送達機能を反映し、膜融合リポソームを用いOVAを経鼻免疫することで、鼻腔洗浄液中に感染防御に重要な役割を担っているOVA特異的IgAの誘導が認められた。さらに遠隔の粘膜面である糞便中にもOVA特異的IgAが検出された。これら粘膜面での抗体産生に加え、血清中には多くのOVA特異的IgGの誘導が認められた。さらにその血清中IgGのサブクラスについて検討した結果、2型ヘルパーT細胞誘導型のIgG1に加え、1型ヘルパーT細胞誘導型のIgG2aの誘導も認められた。また、鼻腔固有層、小腸固有層、脾臓中にそれぞれ抗原特異的IgA、IgG産生細胞がELISPOT法により検出され、膜融合リポソームを用いた抗原の経鼻免疫により粘膜面および全身面の両部位に抗原特異的抗体産生が誘導されることを確認した。さらにこれら体液性免疫以外にウイルス感染細胞の排除に必要不可欠なCytotoxic T Lymphocyteの誘導が、脾臓、頸部リンパ節、腸管膜リンパ節において認められた。以上、申請者は膜融合リポソームを粘膜ワクチンキャリアーとして適応し、その有用性を提示してきた。今後はエイズワクチンヘの有用性についてさらに詳細に検討を加えていく予定である。
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