研究課題/領域番号 |
13557209
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
浦野 泰照 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (20292956)
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研究分担者 |
深作 昇 第一化学薬品(株), 合成研究所, 所長(研究職)
廣瀬 謙造 東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (00292730)
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キーワード | フルオレセイン / caged化合物 / 光誘起電子移動 / o-nitrobenzyl基 / 計算化学 / 電荷分離状態 / Marcus理論 / レーザーフラッシュフォトリシス |
研究概要 |
本研究課題で達成すべき第1目標は、種々の代表的なcage反応部位と、その反応が起きたかどうかを検知する部位を併せ持つ化合物群の、汎用性あるデザイン法の確立である。本年度は本研究課題の基礎となる、光誘起電子移動(PET)機構による各種蛍光団の蛍光コントロール法の確立を目指し、各種フルオレセイン誘導体中で蛍光量子収率の低い化合物を励起した結果生じる中間体ラジカル種の、レーザーフラッシュフォトリシス(LFP)による検出を試みた。ベンゼン環部位が9, 10-Diphenylanthracene(DPA)誘導体であり、蛍光の微弱な誘導体であるDPAX-Mに475nmの励起光を照射すると、明確な過渡吸収スペクトルが観測された。含まれる分子種を詳細に解析した結果、DPA^<・+>、^<・X->が同時に生成していることが確認され、PETによりフルオレセイン誘導体の蛍光特性をコントロール可能であることを初めて実験的に証明することに成功した。さらに、生成したラジカルイオンペアの寿命がdyad系としては非常に長いことが見出されたため、電子移動(ET)速度に関する基本的な理論であるMarcus理論に則った解析を行った。その結果、蛍光消光に関係するforward ETだけでなく、生成した電荷分離状態(CS)からの基底状態へのback ETもMarcus双曲線上にきれいに乗り、非常に長いCSの寿命はETの逆転領域に深く入り込んでいるためであることが初めて示された。さらに、caged基として汎用されているo-nitrobenzyl基を持つフルオレセイン誘導体も合成し、その蛍光特性、LFPによる過渡吸収を検討したところ、これら化合物群においてもPETにより蛍光特性がコントロールされており、Rehm-Weller式により求められるET自由エネルギー変化、計算化学を用いて求められるHOMO、LUMOのエネルギーレベルから、蛍光特性を予想し得ることが見出された。これらの知見は、cage反応が起きたかどうかを検知可能なcaged化合物のデザインに直接つながるものであり、次年度以降それらの化合物のデザイン・合成・評価を行っていく予定である。
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