研究課題/領域番号 |
13557211
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
矢野 重信 奈良女子大学, 大学院・人間文化研究科, 教授 (60011186)
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研究分担者 |
藤岡 敬治 住友製薬KK, 製剤技術研究所, 所長
木下 勇 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (80128735)
覚知 豊次 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80113538)
小澤 俊彦 放射線医学総合研究所, 理事 (40160858)
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キーワード | 光線力学的療法 / ポルフィリン / クロリン / バクテリオクロリン / 糖 / 一重項酸素発生 / 光毒性 / HeLa細胞 |
研究概要 |
1.糖分子を機能素子とする光線力学的療法(PDT)に用いる優れた光増感剤の開発を目指してFree-baseまたは亜鉛含有の新規水溶性配糖ポルフィリン誘導体の合成を行った。アセチル基で保護された各種単糖(AcSugar)が連結したベンズアルデヒド、ピロールと酢酸亜鉛を原料として亜鉛含有糖連結水溶性テトラフェニルポルフィリン(ZnAcSugarTPP)を合成した。Free-base AcSugar TPPは塩酸処理することによって調整した。次いで糖の水酸基が保護されたAcSugar TPPを還元することにより、新規糖連結水溶性クロリンやバクテリオクロリンを調整し、それらを脱保護することにより、糖連結水溶性クロリン、バクテリオクロリンを合成した。これらの光増感剤の一重項酸素発生能ならびに培養がん細胞(HeLa細胞)に対する光毒性評価を行った。 2.糖を連結させたことでバクテリオクロリンが純粋に得られ、バクテリオクロリン合成において初めての例となった。これらの培養がん細胞(HeLa細胞)に対する光毒性評価の結果、いずれも暗所毒性を示さなかった。クロリン誘導体では糖水酸基を脱保護した水溶性化合物で飛躍的に活性が向上することが判明した。また、メタ置換バクテリオクロリンの一部(m-TGlcPBCやm-TXylPBC)は700nm以下の光をカットしても優れた光毒性を示した。特にバクテリオクロリンは長波長領域(740nm)に大きな吸光係数のピークを持っており組織透過性の向上が期待される。
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