研究課題/領域番号 |
13557211
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
矢野 重信 奈良女子大学, 大学院・人間文化研究科, 教授 (60011186)
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研究分担者 |
覚知 豊次 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80113538)
木下 勇 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80128735)
藤岡 敬治 住友製薬KK, 製剤技術研究所, 研究所所長
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キーワード | 糖 / 光増感剤 / 光線力学療法 |
研究概要 |
ガン治療法の一つである光線力学療法の高度化を目的として、最終年度にあたる本年はこれまでに合成してきた糖鎖連結ポルフィリン類の1.親疎水性評価、2.血清アルブミンとの結合挙動、3.腫瘍細胞による薬剤取り込み評価、4.in vitro光毒性評価を行った。 1.糖鎖連結ポルフィリン類の親疎水性評価法の確立【triple bond】薬剤の親疎水性は薬物動態学的に重要な特性の一つである。通常n-オクタノールと水の間の分配係数の対数値で評価されるが、光増感剤のように会合体を形成しやすい化合物には不向きである。そこで逆相HPLCにより親疎水性を評価する方法を確立し、親疎水性が連結した糖の種類により変化することを見いだした。 2.糖鎖連結ポルフィリン類の牛血清アルブミンとの結合挙動の解析【triple bond】投与された光増感剤は、そのほとんどが血清中に豊富に存在するアルブミンと結合した状態で存在する。そのためアルブミンに対する薬剤の結合挙動の解析は薬物動態学的に重要である。そこで、蛍光滴定法を用いて結合数と結合定数を求めた。得られた結合数は薬物の疎水性が高くなるほど大きくなることが明らかとなった。 3.糖鎖連結ポルフィリン類の腫瘍細胞による取り込み量の定量【triple bond】光毒性試験の実施に当たりまず薬剤の腫瘍細胞による取り込みを評価した。結果として連結した糖分子の種類によって取り込み量が変化することを明らかにした。また、取り込み量と薬剤の親疎水性との間には明確な相関が見られないことが分かった。 4.糖鎖連結ポルフィリン類のin vitro光毒性試験【triple bond】取り込み量の大きな糖連結ポルフィリンおよびクロリン誘導体について、取り込み量と光毒性との間の関係を調べるために準備的は光毒性試験を行った。その結果、取り込み量の増加が直接光毒性の向上に結びつかないことを明らかにした。
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