研究課題/領域番号 |
13557219
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
杉山 雄一 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (80090471)
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研究分担者 |
滝川 一 帝京大学, 医学部, 教授 (70197226)
楠原 洋之 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (00302612)
鈴木 洋史 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教授 (80206523)
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キーワード | 薬物間相互作用 / トランスポーター / OATP2 / MRP2 / 肝胆系輸送 |
研究概要 |
1.ラットorganic anion transporting polypeptide 4(Oatp4)およびmultidrug resistance associated protein 2(Mrp2)共発現系の構築およびラットin vivoでの胆汁排泄クリアランスとの相関研究 昨年ヒトにおいて取り込み(OATP2)・排泄(MRP2)両方の共発現系を作成し、胆汁排泄のin vitroモデルの構築に成功したが、本年は、in vivoの胆汁排泄能力との相関をみるために、ラットでの有機アニオン輸送に重要なトランスポーターであるOatp4/Mrp2の共発現系を構築した。本発現系でも同様に、多くの有機アニオンのbasalからapical方向へのベクトル輸送が観察された。また、各化合物の経細胞輸送クリアランスと、ラットin vivoにおける肝クリアランスとの間には、ある補正係数を乗じることで非常に良好な相関がとれることが明らかとなり、本実験系がin vivoでの胆汁排泄の予測につかえる可能性が実証された。 2.シクロスポリンA-セリバスタチンのOATP2を介した肝取り込み過程における相互作用の検討 シクロスポリン(CyA)とセリバスタチン(CER)の肝臓における相互作用のメカニズムを明らかにする目的で、まず、肝取り込み過程の柑互作用が起こりうるかを検討するため、ヒト凍結肝細胞ならびにOATP2遺伝子発現細胞を用いて輸送阻害実験を試みた。その結果、ヒト肝細胞、OATP2発現系の両方においてCyAはCERの輸送を低親和性(阻害定数Ki<1μM)で阻害し、そのKi値はほぼ同一であった。また臨床におけるCyAの蛋白非結合型濃度はki値付近と見積もられ、肝取り込み過程における相互作用が疑われる結果を得た。一方、CERはCYP2C8,3A4による代謝をうけるので代謝過程における相互作用も考えられたが、ヒト肝ミクロソームを用いた代謝阻害実験より30μMCyA共存下でもCERの代謝阻害は部分的であったことから定量的に代謝阻害では両薬物の相互作用を説明できないことを明らかにし、初めてトランスポーターを介した取り込み過程の相互作用を定量的に解析した研究となった。
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