研究概要 |
本年度の目的は,parchorinノックアウトマウスを作成するため,まず,マウスparchorinの遺伝子構造を明らかにすることであった.当研究室でクローニングしたウサギparchorinの配列を元にdegenerated primerを,マウス脈絡叢mRNAからRT-PCRによりクローニングを試みた.その際,得られた配列は,parchorinが属するCLICファミリーの共通配列を持っており,parchorinであると期待されたが,その後Northern解析によりmRNAサイズと組織分布を見たところ,parchorinより明らかにサイズが小さく,また,横紋筋と肺に高発現しており,parchorinとは考え難かった.この組織分布は既報のCLICメンバーとは明らかに異なっており,新規蛋白質であると判断された.その後,他のプロジェクトの共同研究者であるGeorgia大学Goldenring教授より,human genomeプロジェクトで判明した配列からCLIC5及びそのスプライシングバリアントを同定し(CLIC5Aと5B),組織分布を見たところ,CLIC5Aは横紋筋と肺に高発現しているという,我々のマウスの遺伝子と類似の結果を示し,対照的にCLIC5Bは,ほほ小腸特異的に発現していた(現在投稿中).これらCLIC5Aと5Bの解析は興味探いテーマであるが,本研究テーマとははずれるため,別のプロジェクトとした. マウスparchorinのクローニングは,各種方法を試したが上述のCLIC5Aの配列のみが得られるばかりであった.そこでストラテジーを変更し,マウスよりparchorinを蛋白として精製し,部分アミノ酸配列を決定することとした.種々方法を検討した結果,マウス胃粘膜100,000g上清をred-agaroseに吸着させたのちDEAE-Sepharoseカラムにかけ,最終的に2次元電気泳動で精製するという方法を開発した.現在,数種のペプチド断片の配列を決定し,これを用いてライブラリースクリーニングを行っているところである.
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