研究分担者 |
角田 宏 三重大学, 医学部, 助手 (20314114)
西村 有平 三重大学, 医学部, 講師 (30303720)
中 充子 三重大学, 医学部, 講師 (10093139)
朝日 美彦 (株)大塚製薬工場, 栄養研究所, 研究職
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研究概要 |
甲状腺疾患は内分泌疾患の中でもっとも頻度の高い疾患であり、その中でも、バセドウ病は我が国において約36%を占める最大の甲状腺疾患である。バセドウ病患者の約88%に抗甲状腺薬による薬物療法が実施されているが、その予後については2年間の内服で約30%の寛解が得られるのみである。また、抗甲状腺薬による薬物療法には無顆粒球症などの重篤な副作用が存在する。したがって、薬理ゲノミクスによる甲状腺疾患の創薬ターゲット探索により、効果的で副作用のない薬物療法を開発することは極めて重要である。我々は、世界に先駆けて、甲状腺に選択的に発現する環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ(PDE)8BのcDNAクローニングに成功した(Biochem. Biophis. Res. Commun. 250,751-756,1998)。さらに我々は、ヒトPDE8Bのゲノムシークエンスを解析し、エクソン-イントロン構造および複数のスプライシングバリアントの存在を明らかにした(Biochem. Biophis. Res. Commun. 297,1253-1258,2002)。さらにプロモーター領域の転写調節活性を検討し、甲状腺選択的発現制御に関与する転写調節領域を同定した。また、スプライシングバリアントのPDE活性を検討し、選択的スプライシングの機能的意義を明らかにした。これら薬理ゲノミクス研究の成果により、ヒトPDE8B遺伝子発現制御による新しいバセドウ病治療戦略の基盤を構築することができた。
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