研究概要 |
平成14年度は、主に体液性生体試料からの検体の収集とその質の検定および検査法の基礎的検討を行った。 担がん・非担がん患者からのplasm核酸(NA>をMag NA抽出キットを用い、自動核酸抽出機で抽出すると16.6ng/ml(Pico Green法)が得られた。含まれている核酸断片が検査に適するかを検定する.ためにLightCycler Real Time PCRでβ-globin(DNA)、GAPDH(RNA)、survivinを定量とすると各々1.92x10#1 copies、6.1x10#1 copies、undetectable/5μl plasmであった。このような核酸を用いて、実際に比較的universalな癌関連遺伝子、k-ras(coden12/13)とP53(ex5,6,7,8)、の変異の有無を検査した結果、各々6/41(RFLP法)、8/41(SSCP法)の頻度でが陽性であった。一方、direct seuence法では検出感度以下でほとんど陽性とならなかった。また、がんの病態解析の研究では、前立腺がんや肺がんにおいてHDAC inhibitorsがhTERT mRNAの発現を抑制するとこによってテロメラーゼ活性をdown-regurateしていることが示され、治療への可能性が示唆された。(Int J Cancer 97(5):621-5,2002,Int J Cancer, in press)。 一方、がんの高危険の同定の事例として、HTLV-I carrierのproviral loadのReal-Time PCR法による定量値とpre-leukemic state(5%以下にATL細胞様の異常リンパをもつ健康人)を比較したところ、3群(高ウィルス+高異常リンパ、高ウィルス+異常リンパなし、低ウィルス十異常リンパなし)に分類され、この中でproviral loadが高く且つ異常リンパ球の多い群が高危険群と示唆された(in press)。 また、血清IL.-2R濃度や抗HTLV-1抗体の高危険群であると示唆された(Cancer Causes Control 13(7):657-663,2002)。
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