研究課題
基盤研究(B)
本研究は装置の開発試作を目的とする「展開研究」であり、論文の形で発表された成果が少ないのはそのためである。まず、平成15年度までの小型強力音源用の振動子の開発研究の成果及び現場での実験で得た多くの教訓を生かして、多数のプローブを有する実用的な超音波音速CTシステムのプロトタイプを完成させた。このシステムでは、18本のプローブを電気的に切り替えることで、多数の経路上での音波伝搬時間を短い時間に収集することが出来る。従来の一対のプローブの位置を手で移動させていく方式に比べて、現場で必要な作業時間が格段に短くなることが期待できる。そして、18本のプローブを測定対象の周囲に固定するための専用固定具も開発した。対象の断面が円形もしくは8角形以上の多角形の場合はワイヤーで、四角形の場合は専用レールによってそれら固定具を対象に装着し、各プローブを固定具にはめ込んで使用する。各固定具には、プローブを対象表面に押し付ける力を調整するためのバネが取り付けられている。また、全ての機材を収容する大型で頑丈な専用キャリングケースを作成し、システムの可搬性を飛躍的に向上させた。さらに、プローブに電力を供給する小型の専用電源装置も開発し、小型発電機等の質の良くない電源しか得られない環境でも、十分使用できるようなシステムにすることができた。一方、開発中の装置を用いた探査実験も活発に行なった。例えば、財団法人文化財建造物保存技術協会の協力を得て、平成14年9月には、は日光輪王寺の国指定重要文化財三重塔及び三仏堂の柱の、平成15年7月には、石川県輪島市の重要文化財時国邸の床下柱の3本の探査を行なった。平成16年7月には、山形大学工学部キャンパス内にある国指定の重要文化財「旧米沢高等工業学校本館」の階段ホールの柱の探査を行なっている。特に輪王寺三重塔の場合には、柱の健常な部分の下端位置を特定する事ができたため、根継ぎのために切り取るべき箇所を特定することが出来た。
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日本文化財探査学会誌 6(印刷中)
日本音響学会誌 60
ページ: 441-450
The Journal of the Acoustical Society of Japan.[in Japanese] Vol.58-9
日本音響学会誌 58
ページ: 599-604
Journal of Archaeological Prospection Society of Japan. [in Japanese] Vol.6 No.2[to be published]