研究概要 |
本研究では,「学習者自身の積極的な実践に基づく」,「他者との相互作用を通した」問題の発見と学習,つまりsocio-constructivism(社会構成主義)の立場に立ち,学習者同士による学習環境のデザイン(Learner Centered Design)を実現するための研究を行った.本研究の特徴として,以下の2点が挙げられる. ○技術的な側面:本研究では,学習者の学習への動機付けを高める手段として,物理世界と仮想世界を統合する技術を構築した.具体的には,RFID技術を応用することによる,同時多入力センシングボードを考案した.それにより,教育の現場で指摘されていたヒューマンインターフェイスの問題,例えば、マウスやキーボードに不慣れな児童が学習に参加できない等の問題を克服するとともに,ゲーム感覚で学習に参加しつつも,学習内容の本物性を通して深く学ぶことを目指す協調学習支援システムを実現した. ○実践的な側面:学校教育の現場で,構築したシステムの評価を行った.本研究グループは,小学校の教師と協力し,システム設計の段階から参加してもらうとともに,授業カリキュラム設計にも関わった.具体的には,教師,生徒の要望や地域の特徴を反映させたシミュレーション型環境問題学習支援システムを構築するとともに,その地域でのフィールドワークを取り入れた授業設計を行った.本研究において現場との実践を重視したのは,何を学ぶのか,なぜ学ぶのかを、学習者自身が意識できるようにすることが極めて重要であり,かつ学習支援システムの授業の中での位置付けを明確にすることによりそれが可能である,と考えたからである. 本研究の成果は,以下のようにまとめられる. ○物理世界と仮想世界とを組み合わせることによる,学習への動機付けと学習状況への参加の促進 ○授業カリキュラムとの連携による本物性の高い学習支援環境の実現
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