研究概要 |
本年は,以下の項目について研究を行った。 (1)2機のPHANToMの操作システム作成:PHANToMは,力覚は返すが,トルクを返すことができない。そこで,人が親指と人差し指でナイフやメスを持つように,2機のPHANToMで仮想物体を操作で繰れば,トルクを返すことが可能になる,2機のPHANToMで把持した仮想物体が他の物体と干渉した際に働く力とモーメントを2機のPHANToMを使って出力するシステムを作成した。 (2)高速レンダリングとPHANToM操作システムの実現:ボクセルのレンダリングを司るVolumePROとPHANToMの干渉計算,出力合成を1台のPCで実行させると,秒間30枚のレンダリング処理ができないため,これのタスクをスクラムネットで結合された2機のPCで分散並列処理をさせたところ,円滑な操作が実現できた。 (3)PHANToMでは柔軟な仮想物体の操作は支援されていないが,反力をダンパーバネモデルを利用して返すことは可能である。そこで,PHANToMと干渉した仮想物体の接触部位とその周辺の表面分を書き換えることによって,変形時の力を返すことが可能となった。しかし,ボクセルでの変形は,ボクセル単位での半径しかできないため,一辺が256ボクセルのシステムでは,滑らかな変形を実現できなかった。 切断は変形と現象が異なる上に,サーフェイスモデルでは,切断後の断面構成が難しくなるのに対して,ボクセルモデルではボクセルの消去で切断が実現可能であるが,切断に伴う変形は上記の理由により,満足できるものとはならなかった, (4)切断時の拘束の実現:二次元ペイントツールの鉛筆で意図通りの曲線を引くことは難しい。これは,意図しない方向への鉛筆のずれを拘束できないからである。そこで,PHANToMの掃引方向に障害面分を生成して,PHANToMの動きを拘束した。その際,面分を小さくすると拘束の意味がなくなる一方、大きくすると直線しか引けないといった問題が生じた。
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