研究分担者 |
野村 由司彦 三重大学, 工学部, 教授 (00228371)
宮岡 徹 静岡理工科大学, 理工学部, 助教授 (00111815)
三矢 保永 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10200065)
山縣 裕 ヤマハ発動機, 研究センタ, 主任研究員
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研究概要 |
触覚のバーチャル・リアリティの呈示性能を向上することを目的に,4数類のヒトの触覚受容器に刺激を与えるように,分布圧覚呈示装置と滑り覚呈示装置を組み合わせたシステムを開発する.本年度は,前年度開発した8×8形分布圧覚呈示装置の性能評価を行うとともに,分布圧覚・滑り覚同時呈示装置を新しく設計製作した.成果を以下に要約する. (1)前年度開発した触覚呈示装置の評価方法,すなわち,1)仮想空間上に2枚のテクスチャ面を呈示し,片方を出題テクスチャとしてこのテクスチャを固定しておく,2)もう片方を調整テクスチャとし,被験者はキーボードのカーソル調整キーを押すことで調整テクスチャを任意に調整し,3)両者が同一となるように被験者はパラメータを調整し,最終的に得られた両者の差が小さいほど被験者は呈示されているテクスチャを正確に感じとっているとする調整法,の有効性を確認するため,従来の恒常法や正答率法と本手法を比較した.同じ精度の閾値を得るために必要とする時間が約半分になるなど,本手法の有効性を明らかにした. (2)テクスチャ呈示において,触知ピン間隔が判定精度に与える影響を調べるために,ピン間隔が1.8mmの実験装置も新しく設計製作した.前年度製作した1mm間隔の呈示装置と比較検討を行った結果,1.8mmでもテクスチャ呈示の判定精度は変わらないことがわかった.1.8mmは,二点弁別閾に近いため,テクスチャ呈示においても2点弁別閾以下までピン間隔を狭める必要がないことがわかった. (3)圧覚・滑り覚同時呈示装置を用いてテクスチャ識別実験を行った.縞模様呈示の場合には,滑り力のみの呈示でも格子模様以外の正答率が70%以上と高かったため,せん断力の変動も仮想テクスチャ呈示に役立ち得る可能性があることがわかった.また,一般のテクスチャ呈示では,サンドペーパーのようにランダムな凹凸感の表現が必要な場合には,圧覚とせん断力呈示が有効となり得ることがわかった.
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