研究概要 |
触覚のバーチャル・リアリティの呈示性能を向上することを目的に,4数類のヒトの触覚受容器に刺激を与えるように,分布圧覚呈示装置と滑り覚呈示装置を組み合わせたシステムを開発する.本年度は,前年度開発したマウス搭載形圧覚・滑り覚同時呈示装置における分布圧覚呈示部のアレイ規模を4×4から4×6へ増加するとともに,滑り覚呈示の効果を検証するために被験者に仮想図形の外形を探索させてマウスポインタの軌跡を計測する実験を実施した.また,前年度までに開発した3リンクマニピュレータに,ピッチ1.8mm,アレイ規模8×8の圧覚呈示装置を搭載した触・力覚呈示装置新しく設計製作するとともに,仮想テクスチャ呈示実験を実施した.さらに,仮想ペグ・イン・ホール作業を実施するたあに,新しく把握力呈示装置を設計製作した.成果を以下に要約する. (1)滑り覚呈示部としてx-yリニアモータを用い,圧覚呈示部としてバイモルフピエゾアクチュエータを用いた圧覚・滑り覚呈示装置をマウスに搭載した触覚マウスを開発した前年度に引き続いて,今年度は圧覚呈示部のアレイ規模を4×6へと拡大した. (2)圧覚・滑り覚呈示装置搭載マウスを用い,滑り覚呈示による仮想形状の呈示性能の向上度を評価するため,円,正二角形,正方形の仮想形状の外形を走査する実験を行い,圧覚と同時に滑り覚を呈示したほうが仮想形状からの偏差が顕著に小さいことから滑り覚呈示の有効性を定量的に評価できた. (3)力覚と圧覚の融合呈示による仮想テクスチャの呈示性能向上を検討することを目的として,前年度までに開発した3リンクマニピュレータを改造することにより,力覚と圧覚の融合呈示が可能なディスプレイ装置を設計・製作した. (4)開発した力覚と圧覚の融合呈示ディスプレイの有効性を検討するために,前年度と同様に交差模様状テクスチャを呈示して,標準テクスチャの交差角が比較テクスチャの交差角と一致するように被験者に調整させる実験を実施した.その結果,閾値が前年度開発した触覚マウスで計測した閾値とほぼ一致したことから,本ディスプレイの機能・精度が妥当であることが確認できた. (5)仮想ペグ・イン・ホール作業を実施するために,超小型ACサーボモータを用いてステープラ形の把握力呈示装置を開発し機能試験を終了した.今後,本装置を用いて呈示実験を実施する予定である.
|