研究課題/領域番号 |
13558050
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研究機関 | 富山商船高等専門学校 |
研究代表者 |
山崎 祐介 富山商船高等専門学校, 商船学科, 教授 (90132597)
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研究分担者 |
渡部 豊 東京商船大学, 商船学部, 助教授 (50182960)
村山 義夫 財団法人海上労働科学研究所, 研究第一部, 主査
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キーワード | 船舶 / 海上交通 / 海難 / 事故調査 / インシデント / ヒューマンファクター / 監視作業 / 操船 |
研究概要 |
申請者らは、第一回目のによってインシデント状況とその背後要因についての質問紙調査票によって、海難審判が行われる400倍以上の経験が収集できることや、インシデントと現実の海難の状況が似ていることを明らかにした。そして、海難調査に関する多重分割表分析によって、二つの要因の関係への第三の要因の関わりを評価して、危険な要因の関係を絶つ海難防止対策が重要であることを明らかにした。第二回目のインシデント試行調査では、特にヒューマンエラー対策に有効な資料を得るために、船橋当直者の行動に影響する行動形成因子(以下、PSF)について検討し、安全対策上重要な因子をとりあげ、現場から積極的な回答が得られること及び、重要なPSFを簡便な質問紙に作り上げるという観点から調査を実施した。本年度は、米国NASAや米国沿岸警備隊のインシデント調査専門機関を訪問し、その状況調査を実施する予定であったが、同時多発テロの影響で渡米調査は実施できなかったので来年度行うこととした。 本年度実施した、第三回目のインシデント調査は、事前の安全担当者への趣旨説明が功を奏し、2,727名(回収率67%)もの多くの回答を得ることが出来たので、この調査票調査を解析した。回答の傾向は、個人差と個人内変動がともに含まれているが、総じて状況が反映しており、交通環境の厳しさが強く指摘され、環境や自己の特殊な条件についての指摘が少ない偏りがあった。このことから、状況を勘案して行動形成因子全般について検討する必要があることが分かった。また、指摘が多い交通環境への対策努力が認められるなら、自身の課題に対しても振り返る気持ちのゆとりが生まれることが期待される。そのためには、調査と安全対策とその評価といったループが継続的に進められる必要があることも分かった。これらの知見により、本展開研究の根幹をなし、最も重要なPSFの項目(内容と質問の仕方)について、船員教育・行動科学・リスク評価の視点から、船舶安全管理の実態を内航・外航別に、インシデント調査票を現実の人的リスク・環境リスクと行動形成因子との対応を厳密にして再設計した。再設計した調査票による、第四回目のインシデント試行調査を来年度早々に実施する予定である。さらに、本年度の成果として、来年度に実施する、実務者が容易にインシデント調査を自分で分析するためのソフト(一般に普及しているOSとExcelによるVisual Basicで作成)の基本的な骨格を作成した。
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