研究概要 |
本研究では、申請者らが平成11〜12年度科学研究費補助金・基盤研究(C)で得たリアルタイムキネマティック(RTK)-GPSの短時問測量による、地盤変動の高精度測量の成果をもとに,従来申請者が提唱している「斜面定期健康診断」を実用化するためのRTK-GPS測量に関するデータ取得,技術開発および機器・ソフト開発を行った.本年度は以下の研究を実施した. (1)前年度に試作したRTK-GPSの1秒サンプリングモードで取得したデータからリアルタイムに各種ノイズを除去しデータの統計・検定処理を行い、リアルタイムに手元の液晶型ペンコンピュータのディスプレイに表示するプログラムを改良し,過去のデータと比較すると共に,5分程度以内に効率よく3mm程度の高精度を得るためのRTK-GPS用解析アルゴリズムを構築した.このソフトウェアは研究分担者によって実用化されRTK-GPSユーザーに利用される予定である.(2)高知県・怒田地すべり地,徳島県善徳地すべり地,新潟県沖美地すべり地,大阪府亀の瀬地すべり地すべり地および宇治市の市街地の五箇所の試験地において繰り返し観測を実施し,伸縮計,孔内傾斜計,光波,善徳においてはGPS連続静止測量の結果との比較を行ったところ,良好な結果を得た.特に怒田地すべり地では側方境界付近で微分的な運動を示していることがわかった.(3)研究代表者が試作し特許を出願した自動三脚は,関西TLOを通し独占的実用化ライセンスを(株)丸東製作所に与えたが,市販に供するための改良および性能試験を実施した.特に軽量化を試み,地面の測量釘の鉛直真上2mに水平誤差1mm以内の設置が短時間に可能となる高精度のアンテナ保持用三脚を制作した.平成15年4月から市販(発売)されることとなった.なお,特許は現在出願中である.
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