研究概要 |
より性能の良い超伝導体検出器を製作するために,真空チェンバを更新した.新しい真空チェンバには,従来からの超伝導体Nbスパッタ用DCマグネトロンに加え,絶縁体とするAlおよび常伝導体Agを蒸発させる電子ビーム蒸着ガン,そして絶縁性を確実にするためのSiO_2成膜用RFマグネトロンを備えている.また,真空チェンバの内部からべーキングを行うためのハロゲンランプとこの前後駆動機構を持つ.さらに,超伝導体検出器を製作するために,従来は基板をX-Y方向へ移動するX-Yステージを用いていたが,今回は基板をシャドーマスクに接近させるための駆動機構を持つX-Y-Zステージを製作した.この新しい成膜システムを用いて,超伝導体検出器の製作を開始した. まず,超伝導体膜であるNb膜の成膜条件をアルゴンガス圧を変えながら検討した.次に,絶縁体膜とするAlおよび常伝導体のAgの蒸着条件を検討した.最後に,SiO_2膜を成膜するための酸素を混入したアルゴン雰囲気の条件を決定した.本年度製作したX-Y-Zステージを用いることで,従来はシャドーマスクのパターンから約50μm程度あった膜のしみ出しが,およそ10μm程度と小さくなった. また,超伝導体検出器の有感面積の増大化に関して新しいアイディアを得た:放射線のエネルギー付与による接続を行うヒートスイッチの利用である.この方法に関して特許申請の準備を行っている.
|