研究課題/領域番号 |
13558066
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
鳥羽 陽 金沢大学, 薬学部, 助手 (50313680)
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研究分担者 |
木津 良一 金沢大学, 大学院・自然科学研究科, 授教授 (80143915)
早川 和一 金沢大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (40115267)
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キーワード | ベンゾ[a]ピレン / ヒドロキシベンゾ[a]ピレン / 多環芳香族炭化水素 / 1-ヒドロキシピレン / 2-ヒドロキシフルオレン / 内分泌撹乱作用 / シトクロムP450 / 喫煙 |
研究概要 |
ベンゾ[a]ピレン(BaP)の代謝物として知られているBaPのモノヒドロキシ体(OHBaPs)、ジオール体、及びキノン体について、ヒトエストロゲンレセプターへのリガンドの結合をβ-ガラクトシダーゼの発現によって測定できる酵母を用いてエストロゲン様/抗エストロゲン作用を評価した。その結果、OHBaPsのみに活性が観察され、ジオール体及びキノン体は活性を示さなかった。さらに、フェノール性水酸基の存在が活性発現に必須であるだけでなく、水酸基の位置も重要な要因であることが明らかとなった。次に、これらのOHBaPsが代謝物として生成するか否かを検討するために、BaPをシトクロムP450によりin vitroで代謝させたときに生成するBaP代謝物を同定した。その結果、1-OH、3-OH、及び9-OHBaPが主代謝物として同定され、ホルモン様作用を有するOHBaPsが生体内でも生成する可能性が示唆された。このことから、ヒトのBaPを含めた多環芳香族炭化水素(PAHs)の暴露量を把握し、推定された曝露量から内分泌撹乱の可能性を推定するため、尿中OHBaPs、及びPAH曝露の指標としての1-ヒドロキシピレン(1-OHP)と2-ヒドロキシフルオレン(2-OHF)についてのHPLC-蛍光検出法による分析法を開発した。尿試料は、抱合体を加水分解した後、固相抽出またはブルーレーヨンを用いて濃縮し検液とした。ヒトの尿中代謝物を測定した結果、OHBaPsの異性体の中でエストロゲン様活性を有する3-OHBaPを検出した。また1-OHP及び2-OHFについては、PAH摂取源の一つである喫煙の影響を検討したところ、喫煙者でその尿中濃度が有意に高く、曝露指標になることが分かった。以上の結果から、生体内でエストロゲン様活性を有するBaP代謝物が生成し、尿中に排泄され、また喫煙によってその曝露量が増加することが明らかとなった。
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