研究課題/領域番号 |
13558069
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
清水 透 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (40118956)
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研究分担者 |
黒河 博文 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手
佐上 郁子 東北大学, 多元物質科学研究所, 講師 (10143033)
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キーワード | 分子スイッチ / チトクロムP450 / 一酸化窒素 / 環境ホルモン / 電子移動 / キメラ / 遺伝子工学 / 薬物代謝 |
研究概要 |
シトクロムP450は肝臓において睡眠薬や麻薬などの各種の薬物を代謝する。この酵素はペンブピレンやアゾ色素などの環境汚染化学物質も代謝するヘム酵素である。この反応の促進に必要な電子は、NADPHにより供給され、P450還元酵素を解してO450のヘムに導入される。このP450還元酵素はP450とは別の酵素である。しかし、P450還元酵素とP450が1分子上に融合した酵素P450BM3も知られている。一方、NO合成酵素(NOS)じゃ生体にとって極めて重要なNOを合成する酵素である。NOSはP450と同じヘム活性部位を保持する酸化反応ドメインとNADPF-P450還元酵素ドメインとから成る融合酵素である。このドメイン間の電子移動反応はカルモデュリンで制御されカルシウムの存在/非存在で反応のon/offが行われる。我々は、分子スイッチとしてカルモデュリンがこのP450の反応に利用できないかと考え、NOS/P450BM3のドメインを交換したキメラ酵素を4種類構築してその反応性、基質結合性、及び電子移動速度などを調べた。その結果、基質の結合性は野生型には及ばなかった。又、NOSのヘムドメインと還元酵素ドメインを遺伝子工学的手法を用いて別々に発現と精製をし、それらよりなり再構成系を構築して反応活性や電子移動速度を調べた。その結果、ドメインと単離すると、カルモデュリンは、野生型で観測された電子移動を促進して、NO合成活性を上昇させることはなかった。ドメインと単離すると、電子移動速度はカルモデュリンによって促進はされず、NO合成活性は逆に著しく低下した。以上の結果により、ドメイン間の電子移動、酸素添加活性などは、ドメインを交換したキメラ体を作成しても、又、ドメインを単離しても野生型のそれには及ばないことが示唆された。今後、ドメイン間の相互作用や電子移動速度についてさらに解明する必要がある。
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