研究課題/領域番号 |
13558069
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
清水 透 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (40118956)
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研究分担者 |
黒河 博文 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (80359546)
五十嵐 城太郎 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (80375162)
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キーワード | 分子スイッチ / センサー酵素 / ヘムセンサー / cAMP / プロテイン・マイクロアレイ / 蛋白-蛋白相互作用 / 酸化還元状態 / シグナル |
研究概要 |
分子スイッチという意味でセンサー酵素は重要である。センサー酵素において、光、酸素分子、電子、CO,NOなどを外部からシグナルとして酵素が受容し、それが分子スイッチになって、酵素活性や転写活性を発現させる。分子スイッチの機構を理解することにより、外部から与えられた環境汚染物質がシグナルになって修復酵素などの活性をon/offする酵素の構築につなげないかと考えた。大腸菌より得られたヘムセンサー酵素は、ヘムの酸化還元状態を酵素はセンスし、それが分子スイッチになってcAMP分解反応のon/offを行う。X線結晶構造解析より、ヘム鉄の酸化還元状態の変化が、ヘム鉄の軸配位子を交換し、さらにヘム結合ドメインの構造を大きく変化させることを世界で初めて見いだした。ヘムドメインに2つ存在するトリプトファンの変異体の蛍光スペクトルより、このヘムドメインの分子表面とヘム近傍にある2つのトリプトファンを明確に区別することができた。ヘムの軸配位子His77の近傍にあり分子表面に近いところにあるAsp40を他のアミノ酸に変異させると、自動酸化速度や酸化還元電位が著しく変化し、又、cAMP分解活性が完全に消失した。さらに、ヘム結合ドメインだけを単離した蛋白質はこの酵素の活性を5倍以上に上昇させた。これらの結果は、酵素内分子スイッチ及び蛋白間分子スイッチの機構を理解する助けになった。さらに、この酵素の蛋白間分子スイッチの仕組みについて、プロテイン・マイクロアレイを用いて詳細に調べた。その結果、ヘム鉄の酸化還元状態に依存して、蛋白-蛋白相互作用が著しく変化することが証明され、これによって、生体内分子スイッチの典型的な例が見つかり、その機構の一部が明らかになった。
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