研究課題/領域番号 |
13558072
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研究機関 | 新潟薬科大学 |
研究代表者 |
藤井 智幸 新潟薬科大学, 応用生命科学部, 助教授 (40228953)
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研究分担者 |
宮脇 長人 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (80012053)
三宅 紀子 新潟薬科大学, 応用生命科学部, 助教授 (70314573)
服部 良男 新潟薬科大学, 応用生命科学部, 教授 (40350714)
田中 孝明 新潟大学, 工学部, 助教授 (00217043)
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キーワード | nanospace / supercritical carbon dioxide / silica membrane / lipase / critical phenomena |
研究概要 |
本研究で溶媒として用いた超臨界二酸化炭素は有機溶媒のひとつである。有機溶媒中における酵素活性と溶媒特性との関係を評価する上で有用なパラメータであるlogPを推算したところ、3.0〜11.8MPaの高圧二酸化炭素については、圧力上昇に伴いlogPは0.9〜2.0まで増加する傾向が認められ、ベンゼン(logP=2)やフェノール(logP=1.5)と近い値であった。このことから、超臨界二酸化炭素は圧力により極性が生じており、圧力の増加に伴って極性が小さくなっていくことが示された。 リパーゼを用いたステアリン酸とエタノールのエステル化反応に関しては、圧力の増加とともに反応速度が高くなりlogPの増加傾向とおおむね一致したことから、超臨界二酸化炭素中でのリパーゼ反応を溶媒特性の視点からとらえると有効であることが示された。一方、ステアリン酸エチルの加水分解反応に関しては、圧力が増加するにつれて反応速度が低くなり、臨界圧力付近で反応速度が極大となった。このことから、溶媒分子のクラスター化などの臨界点近傍での特異な特性が酵素反応に影響を与えていることが示唆された。 以上の結果から、ナノスペースは壁表面からの相互作用ポテンシャルの影響が強く現れる空間であるため、超臨界二酸化炭素を溶媒として用いてナノスペースでの酵素反応を検討する際には、反応機構によってはバルクとしての溶媒特性に加えて、溶質と二酸化炭素、酵素表面、壁表面との相互作用をそれぞれ考慮する必要があると考えられた。
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