研究概要 |
火力発電所などから排出される窒素酸化物,硫黄酸化物(SOx, NOx)の除去技術の開発は緊急の課題である.しかしながら,従来の処理技術では,効率・コスト的に問題があり画期的な処理技術が望まれている.そこで,本研究では我々のグループにより世界で初めて試みられた.非平衡プラズマ脱着によるNOx濃縮化・小容量化(高濃縮化)技術とプラズマ・ケミカルハイブリッドシステムを用いたSOx・NOx同時完全除去装置の革新的技術開発を行い,その経済性,システムとしての評価を行い実用化の指針を追求した.吸着剤として,活性炭,モレキュラーシープ,疎水性ゼオライトを用い,バックグラウンドガスとしては空気,ヘリウム,アルゴンガスとし,ガス温度もバラメーターとしプラズマ脱着濃縮化を評価した.プラズマ発生装置としては,吸着剤ペレットを充填したバリアタイプパックドベッドリアクタとパルスコロナリアクタを用いた.電源としては,周波数可変AC電源(30kV, 60Hz〜30kHz), 周波数可変パルス高圧電源(30kV, 1Hz〜1,000Hz), ローティティングスパークギャップによる高電圧極短パルス(30kV, 10mA)等を用いてプラズマ脱着による濃縮技術の最適化および高濃度化されたSOx・NOx除去技術の基礎データ取得を行なった.気相反応生成物はガス分析計により,CO, CO_2, NO, NO_2, N_2O, NOx, SO_2, O_3を測定し,液相はNO_2, NO_3, SO_3, SO_4イオンをイオンクロマトグラフにより同定した.プラズマリアクタ充填部のプラズマ発生部の局所温度は光ファイバー温度計により測定した.また,実用装置に使われるサイリスタスイッチによる高電圧パルス電源によるプラズマ脱着濃縮化の最適化も評価し,プラズマ脱着反応プロセスの分析,定量化,評価を行い,プラズマ脱着のメカニズムの解明を行なった.
|