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2001 年度 実績報告書

肝幹細胞の同定・分離法の開発と自己複製・生存機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 13558083
研究機関東京大学

研究代表者

仁科 博史  東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教授 (60212122)

研究分担者 紺谷 圏二  東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (30302615)
星野 真一  東京大学, 大学院・薬学系研究科, 講師 (40219168)
堅田 利明  東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (10088859)
キーワード胎児肝 / 肝芽細胞 / MAPキナーゼ / 骨髄細胞 / 幹細胞 / モノクローナル抗体 / アルブミン / SEK1
研究概要

マウスの肝形成は、自己複製能と分化能を有する肝芽細胞の出現と増殖に始まる初期肝形成と、成熟した肝細胞へ分化・成熟する後期肝形成の2つの時期からなると考えられている。しかしながら、肝形成の細胞・分子レベルでの研究は近年始まったばかりであり、肝芽細胞の同定・分離法、増殖・生存維持に関わるシグナル伝達系の知見を含め初期肝形成の解明は遅れている。我々は先に、ストレス応答性のMAPキナーゼシグナル伝達系SEK1→SAPK/JNK→c-Junが、肝芽細胞の増殖や生存維持に必須の役割を果たしていることを明らかにしてきた。本研究では、初期肝形成に着目し、胎児肝特異的なモノクローナル抗体(抗Liv2, Liv5, Liv8抗体と命名)を作製し、肝芽細胞の同定や分離法を検討した。その結果、抗Liv2抗体は肝芽細胞を特異的に認識すること、抗Liv8抗体は胎児肝領域に存在する血球系細胞の表面分子を認識し、FACSにも使用可能であることが判明した。そこで、胎児肝由来の細胞集団から、TER119陽性の赤血球とLiv8陽性細胞を除去したところ、Liv2陽性の肝芽細胞を容易に高効率で濃縮することが可能になった。また、最近注目されている骨髄細胞の肝細胞への分化能を、成体マウスへの移植実験を行うことによって検討した。四塩化炭素処理で肝障害を誘導したマウスに骨髄細胞を移植したところ、導入した骨髄細胞の一部が肝臓に生着した。さらに生者した細胞の中からLiv2陽性細胞やアルブミン陽性細胞が出現した。骨髄細胞をLiv8陽性と陰性の2群に分離後、移植したところ、Liv8陰性群が陽性群に比較して効率良くアルブミン陽性の肝細胞へと分化することが観察された。これらの結果は、成体マウスの骨髄中に肝細胞への分化能を有する幹細胞が存在すること、また、本研究で作製された抗体がこれら幹細胞の解析に有用なツールとなる可能惟を示唆している。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] T.Wada, K.Nakagawa, G.Nishitai, J.Seo, H.Kishimoto, et al.: "Impaired synergistic activation of stress-activated protein kinase SAPK/JNK in ES cells lacking SEK1/MKK4"J.Biol.Chem.. 276. 30892-30897 (2001)

  • [文献書誌] T.Sasaki, T.Wada, H.Kishimoto, J.Irie-Sasaki, G.Matsumoto, T.Goto, et al.: "The stress kinase MKK7 is a negative regulator of antigen receptor and growth factor receptor induced proliferation in hematopoietic cells"J.Exp.Med.. 17. 757-768 (2001)

  • [文献書誌] D.Kitagawa, S.Tanemura, S.Ohata, N.Shimizu, J.Seo, G.Nishitai, et al.: "Activation of extracellular signal-regulated kinase by ultraviolet is mediated through Src-dependent epidermal growth factor receptor phosphorylation : Its implication in an anti-apoptotic function"J.Biol.Chem.. 277. 366-371 (2002)

  • [文献書誌] H.Kurosu, T.Katada: "Association of phosphatidylinositol 3-kinase composed of p110β-catalytic and p85-regulatory subunits with the small GTPase Rab5"J.Biochem.. 130. 73-78 (2001)

  • [文献書誌] K.Saito, J.Murai, H.Kajiho, K.Kontani, H.Kurosu, T.Katada: "A novel binding protein composed of homophilic tetramer exhibits unique properties for the small GTPase Rab5"J.Biol.Chem.. 277(in press). (2002)

  • [文献書誌] H.Yoshida, S.Hamano, G.Senaldi, T.Covey, R.Faggioni, S.Mu, M.Xia, et al.: "WSX-1 is required for the initiation of Th1 responses and resistance to L. major infection"Immunity. 15. 569-578 (2001)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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