脊椎動物の発生初期における催奇形性ステロイドのスクリーニングを行うため、ソニックヘッジホッグ(Shh)遺伝子産物のコレステロールによる修飾・成熟化への植物アルカロイドなどの影響を定性的にスクリーニングするための簡単な方法を確立する目的で、アッセイ系のセットアップを行った。Shh遺伝子cDNAは最初、胎児ヒト脳cDNAライブラリーからクローニングし、また米国ハーバード大学医学部から、既存のヒトおよびマウスShhCDNAクローンの供与を受けた。 cDNAに含まれる読み取り枠(ORF)を大腸菌の発現ベクターへ組み込み、培養してIPTGで誘導をかけたがIPTG添加と同時に大腸菌が溶菌しはじめ、組換えShh遺伝子産物は細胞毒であることが判明した。次にShhORFのアミノ末端側の配列はコレステロールによる修飾活性には必要ないので、この部分を削った組換え体ΔShhを大腸菌で発現させ、発現ベクターの種類によっては細胞毒としては作用せず、組換え体の調製に供することができることが明らかになった。 また、in vitro転写/翻訳システムを用いて試験管内で、Shh分子を生合成させた。組換え体発現の確認は、SDSポリアクリルアミド電気泳動で分離したあとイムノブロットによった。抗体は免疫原性に優れたアミノ酸配列を検索し、ペプチドを合成してKLH(キーホールリンペットヘモシアニン)をキャリアーとしてウサギに免疫して調製した。その結果予測される分子量のシグナルが得られたので、コレステロールによるプロセッシングを検討している。
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