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2002 年度 実績報告書

中枢神経機能解析のための弱毒単純ヘルペスウイルスベクター系の開発

研究課題

研究課題/領域番号 13558094
研究機関富山医科薬科大学

研究代表者

白木 公康  富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (50135745)

研究分担者 黒川 昌彦  富山医科薬科大学, 医学部, 助教授 (80186527)
キーワード単純ヘルペスウイルス / 遺伝子発現ベクター / 脊髄前角細胞
研究概要

このベクターは、HSV潜伏感染時に神経細胞で転写されるlatency associated transcripts遺伝子(LAT)遺伝子内にβ-gal遺伝子を挿入した弱毒HSVウイルス(βH)である。βHをラットの右腓腹筋に接種すると、片側接種にもかかわらず筋支配領域の両側の脊髄前角運動神経細胞にβ-galの発現が少なくとも約半年間認められた。したがって、筋に接種したHSVベクターが脊髄前角細胞で継続的に外来遺伝子を発現することをはじめて明らかにし、前角神経細胞の脱落をともなう筋萎縮性側索硬化症などの脊髄前角細胞の遺伝子治療に本ベクターが利用できる可能性を示した。また、通常宿主が免疫を有する場合ウイルスが不活化されウイルスベクターによる遺伝子導入が困難である。しかし、本ベクターは免疫存在の有無に関わらずtransneural感染により炎症像を伴わず脊髄両側前角細胞に潜伏感染することを明らかにした。さらに、本ベクターをラット脳内接種後の抗HSV剤(ガンシクロビル)の投与によりβ-gal発現領域を制御できたこと、また、大脳での本ベクターの増殖・潜伏化過程で生理機能に影響が認められず、本ベクターの中枢神経系での発現に対する安全性、有用性が確認できた(Neuroscience Research 45 233-241,2003)。この論文は、Editor推薦の論文として、ElsevirのWeb-siteに掲載された。このように、種々の接種法により本ベクターの病原性や生理学的機能への影響、外来遺伝子の発現期間と発現領域の制御などについて検討し、本ウイルスベクターの安全性、有用性を確認した。
今後、この基礎実験に基づいて、BDNF(神経栄養因子)、NGF(神経成長因子)、bcl-2などの外来遺伝子を組み込んだHSVベクターを作製し、神経機能の解析や遺伝子治療への可能性を明らかにしたい。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Fukuda Y et al.: "Regulated transgene delivery by ganciclovir in the brain without physiological alterations by a live attenuated herpes simplex virus vector"Neuroscience Research. 45. 233-241 (2003)

  • [文献書誌] Phumiamorn S et al.: "Induction of cell-mediated and humoral immunity to hepatitis B surface antigen by a novel adjuvant activity of Oka varicella vaccine"Journal of General Virology. 84. 287-291 (2003)

  • [文献書誌] Tsuji T et al.: "Induction of cellular immunity to varicella-zoster virus glycoproteins tested with pernasal co-administration of Escherichia coli enterotoxin in mice"Journal of Medical Virology. 69. 451-458 (2003)

  • [文献書誌] Takasaki I et al.: "Effects of analgesics on delayed postherpetic pain in mice"Anesthesiology. 96. 1168-1174 (2002)

  • [文献書誌] Kurokawa M et al.: "Effect of interleukin-12 level augmented by Kakkon-to, a herbal medicine, in the early stage of influenza infection on its alleviation"Antiviral Research. 56. 183-188 (2002)

  • [文献書誌] Furuta Y et al.: "In vitro and in vivo activities of anti-influenza viral compound T-705"Antimicrobial Agents & Chemotherapy. 46. 977-981 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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