研究概要 |
この研究の目的は、Green Fluorescent Protein(GFP)を用いて膜電位の変化を蛍光変化に変換する蛋白性蛍光電位センサープローブを開発し、in vivoで細胞膜の電位変化を可視化する技術を開発することにある。 平成13年度 クローン化した電位依存性カリウムチャネルの電位センサー部分(S4領域)近傍にGFPを挿入し、膜電位の変化でS4領域が膜内を移動したときGFPに蛍光変化が起こるようセンサーをデザインすることを試みた。作成した遺伝子はHEK293細胞に発現させ蛍光顕微鏡にて機能を検討した。まずGFPをS4の直後に挿入したいくつかのクローンを作成した、この場合いずれもGFPの蛍光がほとんど観察されなかった。これ原因として蛋白質の立体障害によることが考えられる。そこでGFPをS1の直前、S3の直前、S4の直前に組み込んだセンサー分子を新たに試作した。これらを細胞に発現させたところやや蛍光は弱いものの蛍光を発する蛋白質を生成することが明らかになった。これらの実験事実よりS1,S3,S4の部位を用いてFRETを利用したセンサーを作成できると予想された。 平成14年度 S4直後は最も興味のある部位であるのでS4領域について、平成13年度の結果を踏まえてさらに研究を行った。つまりS4以降を欠損させたカリウムチャネルのS4直後にGFPを結合した一連のクローンを作成した。これらのクローンを培養細胞に発現させたとき、いずれも蛍光を発する蛋白質を生成した。ただ電位依存性カリウムチャネルの一部を欠損させると生成された蛋白質は細胞内(主に小胞体、ゴルジ体、核膜)に留まり、細胞表面の形質膜に発現しているものは極一部であった。次にこの問題を解決するため形質膜に発現することが知られているアミノ酸転移酵素と開発中の電位プローブのfusion蛋白質を作成し検討した。その結果、プローブ蛋白質の形質膜への移行が促進され、この方法が有効であることがわかった。今後プローブの電位変化による蛍光変化量を増加するよう研究を進めていく。
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