研究分担者 |
馬木 清隆 アロカ(株), 第一技術部システム2課, 課長代理(研究職)
佐久間 一郎 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (50178597)
矢作 直樹 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60158045)
波多 伸彦 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 講師 (50334256)
藤江 正克 早稲田大学, 理工学部機械工学科, 教授 (20339716)
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研究概要 |
画像連携型MRI誘導ロボット医用画像診断装置の発達に伴い、医用画像誘導による経皮的脊椎穿刺手術が可能となり、最小限の侵襲で患部へ到達し治療を行う手術が可能となりつつある。経皮的穿刺治療では、針を患部へ誘導するための形態画像だけでなく、治療効果の生理学的情報の可視化が強く求められているため、今後は核磁気共鳴診断画像(Magnetic Resonance Image : MRI)を誘導画像として利用するニーズが高まる。穿刺手術という治療空間の限られた術式では、術者の人間としての手作業では実現できない手術操作が必要となる。まず一つ目として、MRI画像の画質に影響を与えず、MRI撮影装置内の強磁場環境でも動作する手術ロボットの開発。次に、MRI内で高速に体動や臓器の移動を計測する手法の開発。最後に、上記の二つの目的を兼ね備えた臓器移動や体動に追従するMRI誘導手術ロボットの開発を行った。 (方法)MRI環境用手術ロボット経皮的穿刺治療をMRI撮影装置内で行う際に、穿刺針を予め設定したターゲット(主として熱凝固治療する腫瘍)に誘導するロボットを開発した。ロボットはXYZステージと針の保持部で構成されている。ストローク幅は垂直方向に150ミリ、患者からの遠近移動に150ミリ、患者との平行移動に250ミリである。このXYZステージに対し、針を保持する先端部は、術者が直接針を回転させることにより2自由度の受動的動作をする。回転軸は垂直Z軸を除く残りのXY軸それぞれを中心にして設定してある。 次に、臓器移動補償システム開発したナビゲータエコーによる臓器トラッキングをMRI撮影装置内で測定する方法と、MRI対応型のロボットを連動させ、MRI撮影装置内で臓器移動に追従して、なおかつRCM動作をするロボットシステムを開発した。トラッキングデータをMRI環境用手術ロボットの制御部にフィードインし、穿刺位置決め時の移動補償を行った。元々MRIシステムに実装されている画像再構成等の処理はバイパスされるようにした。エコーデータ受信後,Linuxワークステーション上で実行されるエコー処理プロセスは,最初にエコーデータの先頭に付加されたタグを読み取り,画像再構成用のエコーデータかnavigatorかよって処理を切り替える。さらにこの画像を,撮像対象物の現在位置の情報を用いて実際の対象物の位置へレジストレーションする。 (結果と考察)MRI環境用ロボットをMRIガントリ内に設置して画像撮影を行った結果、MRI画像S/N比が10倍ほど劣化したが、画像診断上が不可能となる程では無かった。撮像時間は25秒/枚程度である。MRI環境用ロボットと臓器補償のための臓器移動量計測法の開発を行った。MRI環境用ロボットについてはMRI環境への適応性が不十分であることが分かったが、今後はより定量的な調査が必要となる。その際、計測されるべき項目は、MRI撮影がロボット制御にあたえる影響と、ロボットの動作がMRI撮影に与える影響の双方向で調査が必要となる。臓器移動補償のための、MRI内の臓器移動計測は臨床実機へのシステム統合も含めて完成した。またボランティア実験による生体臓器への応用可能性も可能であることが確認された。臓器補償昨日を伴ったMRI用ロボットの応用は多岐にわたる。
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